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怪盗紳士モンモランシー2 ロンドン連続爆破事件 [海外の作家 あ行]


怪盗紳士モンモランシー2 (ロンドン連続爆破事件) (創元推理文庫)

怪盗紳士モンモランシー2 (ロンドン連続爆破事件) (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/12/11
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
諜報員モンモランシーは崖っぷちにいた。仕事先のトルコで麻薬に溺れてしまったのだ。手を焼いたジョージ・フォックス・セルヴィン卿は友人の医師に治療を依頼しようとしたが、肝心の医師は自分のミスで患者を死なせてしまい、引退を決意する始末。ジョージは二人を立ち直らせようと、スコットランドに連れていく。一方ロンドンでは爆破事件が起こり、諜報員が必要とされていた。


2023年2月の感想が終わったので、読了本落穂ひろい。
エレナー・アップデールの「怪盗紳士モンモランシー2 ロンドン連続爆破事件 」(創元推理文庫)
2017年6月に読んでいます。
前作「怪盗紳士モンモランシー」(創元推理文庫)(感想ページはこちら)を読んだのが2017年1月だったので、割と間を開けずに読んだのですね。珍しい。

非常に広い意味でのミステリーではあるのでしょうが、ミステリ味は非常に薄味で、前作の感想にも書きましたが、古き良き時代の大衆小説、という趣きです。

副題に、ロンドン連続爆破事件とあるように、ウォータールー駅、キングスクロス駅の爆破事件を扱っています。
もう一つの主要な事件は、スコットランドの離島タリモンド島で赤ん坊が次々と死んだ事件。

いずれも、きちんと捜査する、というよりは、行き当たりばったり。出たとこ勝負で真相に辿り着くのですから、ミステリとして評価するのは難しいでしょう。
それよりは、その折々で登場人物たちの変貌ぶりとか、ドタバタぶりを楽しむのが吉なのでしょう。
古き良き時代の大衆小説という所以です。

大衆娯楽小説を目指していることは、たとえば「26 ウォータールー駅」という章で、モンモランシーはジョージ卿に過去を打ち明けるシーンでも明らかです。
このシーンの芝居がかっていることといったら。
おそらくはあえて古めかしい展開、描写にしているのでしょう。
邦訳はこの第2作で打ち切られてしまったようですが、本国では好評なのかシリーズがかなり続いているようです。

こういう作品が日本で受けるのは難しいのかもしれませんね。


<蛇足1>
「この時期は『焚き火の夜(ガイ・フォークス)(十一月五日の晩の祭)』の準備でフル稼働していますからね。」(41ページ)
ガイ・フォークス・デイ(あるいはガイ・フォークス・ナイト)。懐かしく感じますね。
日本語で「焚き火の夜」と訳すのですね。知りませんでした。
焚き火や花火をする日です。
ガイ・フォークスというのは国王ジェームズ1世を暗殺しようと国会議事堂に火薬を運び込んだ暗殺未遂犯で、それを記念するとは変なお祭り、と思っていましたが、ジェームズ1世の生存を祝ったのがいわれなのですね。そりゃ、そうですよね。暗殺犯を祝ったりはいないですね(笑)。

<蛇足2>
「30 キュー・ガーデンとコベント・ガーデン」において、キュー・ガーデンで人を探すというシーンがあります。作中では広くて見つからなかった、となっているのですが、当たり前です!
あんな広大な場所で人を探すのは無理でしょう( 132 haあるそうです)。


原題:Montmorency on the Rocks
著者:Eleanor Updale
刊行:2004年
訳者:杉田七重




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