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黒衣の花嫁 [海外の作家 あ行]


黒衣の花嫁 (ハヤカワ・ミステリ文庫 10-4)

黒衣の花嫁 (ハヤカワ・ミステリ文庫 10-4)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2023/12/26
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
ジュリーと呼ばれた女は、見送りの友人にシカゴへ行くといいながら、途中で列車をおりてニューヨークに舞い戻った。そして、ホテルに着くと自分の持物からイニシャルをすべて消していった。ジュリーはこの世から姿を消し、新しい女が生まれたのだ……やがて、彼女はつぎつぎと五人の男の花嫁になった──結婚式も挙げぬうちに喪服に身を包む冷酷な殺人鬼、黒衣の花嫁に。巨匠ウールリッチの黒のシリーズ劈頭を飾る名作。


2023年12月に読んだ6冊目の本です。
コーネル・ウールリッチの「黒衣の花嫁」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
丸善150周年記念で限定復刊されたもので、奥付は2019年2月の9刷。
(裏側の帯に、丸善、ジュンク堂のコメントがあるのですが、的外れも甚だしく笑ってしまいました。狙いすぎで、かえって大きく外してしまっていますよ)
初読です。

こちらの勘違いによる勝手な思い込みで、「喪服のランデヴー」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)とごっちゃにして読んでしまいました。

引用したあらすじにも出てくるジュリーと呼ばれる女が決意を示すシーンから物語は始まり、
第一部 ブリス
第二部 ミッチェル
第三部 モラン
第四部 ファーガスン
第五部 ホームズ
と、美しい女により男が次々と殺されていくという展開を見せる物語です。

そうとははっきり書いていないのですが、当然、ジュリーが犯人なのだなと読者にはわかる次第です。
このあたりの雰囲気作りは、やはりウールリッチ(アイリッシュ)はうまいですよね。

でも、この物語のストーリーラインで、このラストはないんじゃないかなぁ。
ジュリーサイドの事情がほとんど明かされないことが余計にそう感じさせた要因かもしれません。
かなりの幸運にも助けられ、次々と首尾よく殺しを重ねていくジュリー(と思われる女)に一種の爽快感を覚え(こらこら!)読んでいくと思われるのですが、なんとも言えないモヤモヤ感が残るんですよね。

ウールリッチ(アイリッシュ)はプロットが破綻していることが多く、むしろそれを逆手に取った作品なのかもしれません。

さて、「黒い天使」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想で書いたことを繰り返して感想を結びたいと思います。

まだまだウールリッチ(アイリッシュ)の作品は読みたいので、早川書房さん、東京創元社さん、ぜひぜひ復刊をお願いします。


<蛇足1>
「一つや二つぐらいなら、弱点のあるアリバイというのは聞いたことがありますが、この場合はまるで日向にさらした綿菓子ですからね。」(178ページ)
綿菓子を食べたのは遥か遥か昔で、記憶が定かではありません。綿菓子って、日に当たると溶けましたっけ?

<蛇足2>
「駅で忠実な下僕をこぼして、彼がひとりでのんびりと家に戻ったのは、かれこれ十一時近い時刻だった。」(278ページ)
「こぼす」というのが最初ピンと来なかったのですが、車で行って駅で従僕を降ろしたということですね。ちょっと面白い表現だと思いました。


原題:The Bride Wore Black
作者:Cornell Woolrich
刊行:1940年
訳者:稲葉明雄




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