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こめぐら [日本の作家 か行]


こめぐら (創元推理文庫)

こめぐら (創元推理文庫)

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/01/30
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
必要か不必要かはどうでもいいのだ。したいからする。これは信念なのだ──密やかなオフ会でとんでもない事態が発生、一本の鍵を必死に探す男たちを描く「Aカップの男たち」、うそつきキツネ殺害事件の犯人を巡りどうぶつたちが推理を繰り広げる非本格推理童話「どうぶつの森殺人(獣?)事件」などノンシリーズ作品に、猫丸先輩探偵譚「毒と饗宴の殺人」を特別収録した全六編。


2023年12月に読んだ4冊目の本です。
倉知淳の「こめぐら」 (創元推理文庫)
倉知淳の作品の感想を書くのは久しぶり。「片桐大三郎とXYZの悲劇」(文春文庫)(感想ページはこちら)以来ですね。

基本的にはノンシリーズものを集めた短編集で、「なぎなた」 (創元推理文庫)と2冊同時刊行でした。
読み出してから創元推理文庫特有の英文タイトルが
「Jun Kurachi's Mystery World 2」
となっているのを見て、うわっ、間違えた「なぎなた」を先に読むべきだったか、と思いましたが、短編集なので逆でも問題なかったですね──と信じています。

収録作品は
「Aカップの男たち」
「『真犯人を探せ(仮題)』」
「さむらい探偵血風録 風雲立志編」
「遍在」
「どうぶつの森殺人(獣?)事件」
「毒と饗宴の殺人」
の6つ。

「Aカップの男たち」の馬鹿馬鹿しさたるや堂に入っていまして(変な表現ですが)、この謎解きだとかなり殺伐とした結末になりそうなところを、無難に着地させているのがすごいなと思いました。
しかし、この同好の士は、生きづらそうですね......

「『真犯人を探せ(仮題)』」と「さむらい探偵血風録 風雲立志編」は、作中作、劇中劇という趣向になっていまして、この種の作品があまり好きではないので少々残念。
巻末に付されている「単行本版あとがき」を読むとよくわかるのですが、両作とも、いわば楽屋落ち的な趣向を盛り込んでいるところが注目点でしょうか。

「遍在」は集中では異彩を放つ作品で、ある意味、倉知淳らしくない感じがします。貧乏家庭(?)内のいざこざが、こんな大きな話になろうとは......

「どうぶつの森殺人(獣?)事件」は、お伽噺的な舞台で動物さんが出てくる世界で起こる事件を描いています。
特にミステリとしてカチっと作ってあるわけではないのですが、最後に使われる犯人特定の決め手には驚きました。
「ミステリーランド」の1冊として出してもよかったんじゃないかなぁ......

「毒と饗宴の殺人」は、ボーナストラックということで猫丸先輩登場。
倉知淳はさらっと大胆な仕掛けをするので大好きで、奇想がさらっと炸裂(これも変な表現ですが)するのがいいのですが、この作品で使われているアイデアは、いくらなんでも無理かなぁ。
いや、現実世界で似たような例はあることは知っていますし、それがミステリに仕立てられても当然ということなのですが、個人的に受け入れがたいというか、納得しづらい内容なんですよね。
読んでいて泡坂妻夫の諸作を思い起こしたりもしたのですが、あちらもこちらも「そんなバカな」と思うような着地に落ち込むのですが、納得感の点で差があるように思いました。似たようなアイデアなんですけどね。




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