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三毛猫ホームズの復活祭 [日本の作家 赤川次郎]

三毛猫ホームズの復活祭 (カッパノベルス)

三毛猫ホームズの復活祭 (カッパノベルス)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/05/17
  • メディア: 新書

<裏表紙あらすじ>
凶悪な詐欺事件の裏にひそむ哀しき秘密とは……?
運命を狂わせる難事件に片山&ホームズが挑戦する!
高畠和人の母は、〈オレオレ詐欺〉に引っ掛かり、さらにトラックに歩を進めて重体に。一方、片山と妹の晴美は、別件の〈オレオレ詐欺〉の犯行を阻止するも、用済みとなった受け渡し役の男は殺されてしまった。事件の捜査過程で得た手がかりを頼りに片山は、“K学院”の寄宿舎で暮らす三輪山和美という女性徒を訪ねる。彼女と詐欺犯の意外な関係とは? さらに寄宿舎には和美の祖父や高畠の娘、おなじみの石津もやって来るのだが……。片山とホームズの推理が冴える、国民的シリーズ第52弾!


三毛猫ホームズシリーズも52冊目ですか...すごいですねぇ。
と前作「三毛猫ホームズの証言台」 (カッパ・ノベルス)の感想(リンクはこちら)と同じ書き出しで始めてしまいました。
あらすじにも、帯にも「国民的シリーズ」と書いてあって、確かにこれだけ冊数が重なるとそういってもいいのかもしれませんね。
とはいえ一時期の勢いはなくなっていますので、赤川次郎の読者って今どのくらいいるんでしょうね?

今回取り上げたのは〈オレオレ詐欺〉。義憤にぴったりのテーマです。
それと舞台になるのが、山奥の学校。寄宿学校だけど、春休みでみんな帰省してしまっているという設定。
この寄宿学校がすごいですね。学校だけでなくて、ヘリコプターで迎えに来る親たちとかも。
赤川次郎らしい設定といえば設定ですが。

ただ、プロットはかなり荒いですね。
こういう作風の作品にご都合主義と言っても詮無いことかもしれませんが、もうちょっと工夫してもらってもいいかな?
人間関係を錯綜させるため、というのはわかるんですけど...

またこれはあらすじの問題であって(なのでおそらく編集者の問題であって)作者の問題ではありませんが、「凶悪な詐欺事件の裏にひそむ哀しき秘密」というほど「哀しい」秘密には思えませんでした。
むしろ単に凶悪なだけ!?

最後が希望がうかがえるエンディングになっているところは、さすがの安心印ではありました。


<蛇足1>
学校に生徒で残るただ一人となった和美が、寄宿舎のおばさんと
「生徒はいないけど、この私がいるわ」(46ページ)
と会話して、読者ともどもすごい状況だなぁ、と思うところなんですが、次の章で、先生も一人残っていることがわかります。
当然その先生の食事も寄宿舎で用意されるんでしょうし(実際に一緒にご飯を食べるシーンがありますし、さらに後には片山刑事たちもごちそうに?なります)、46ページの会話はちょっと???ですね...


<蛇足2>
タイトルの復活祭、あんまりよくわかりませんでした。
舞台となった時期的なものでしょうか?
イースターは年によって移動しますが、春休みごろのことが多い気がします。


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