SSブログ

伊藤博文邸の怪事件 [日本の作家 岡田秀文]


伊藤博文邸の怪事件 (光文社文庫)

伊藤博文邸の怪事件 (光文社文庫)

  • 作者: 岡田 秀文
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/06/11
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
明治十七年、伊藤博文邸の新入り書生となった杉山潤之助の手記を、小説家の「私」は偶然手に入れた。そこに書かれていたのは、邸を襲った、恐るべき密室殺人事件の顛末だった。奇妙な住人たちに、伊藤公のスキャンダル。不穏な邸の空気に戸惑いつつも、潤之助は相部屋の書生・月輪(がちりん)龍太郎とともに推理を繰り広げる。堂々たる本格ミステリの傑作、シリーズ第一弾!


読了本落穂ひろいです。
岡田秀文の「伊藤博文邸の怪事件」 (光文社文庫)
月輪シリーズの第一作です。
このあとシリーズは
「黒龍荘の惨劇」 (光文社文庫)(感想ページはこちら
「海妖丸事件」 (光文社文庫)(感想ページはこちら
短編集の「月輪先生の犯罪捜査学教室」 (光文社文庫)
と書き継がれています。

伊藤博文の屋敷へ書生としてやってきた杉山潤之助の手記(を現代の小説家のわたしが現代文に直したもの)という体裁で物語は語られます。
大きく時代が動いた激動の明治初期、舞台は伊藤博文邸、というのが目を引きますが、なにより書生の生活というのが興味深かったですね。
伊藤博文邸の書生というのが一般的な書生像かというと、おそらくそんなことはないのでしょうが、現代ではごくごく例外的な存在と思われる書生には興味津々です。

ミステリ的側面に目を向けると、まず目を引くのが密室状況にしていることだと思いますが、こちらはトリックもあっさりしたもので、物語の中の比重はさほど大きくはないでしょう。
明治ならでは、というよりはもっと細かく伊藤博文邸ならではの犯行動機であったりの物語全体の構図面白い狙いを持った作品をシリーズ第1作に持ってきたな、と感じました。

シリーズは「月輪先生の犯罪捜査学教室」だけが未読です。楽しみ。


<蛇足>
「紺の手拭いを姉さん被りにし、襷掛けに尻端折りという、どこか勇ましい姿」(173ページ)
時代を感じさせる格好ですが、”尻端折り” がわからず、調べてしまいました。
着物の裾を外側に折り上げて、その端を帯に挟むこと。
とあります。





nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 11

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。