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死んでも負けない [日本の作家 か行]


死んでも負けない (双葉文庫)

死んでも負けない (双葉文庫)

  • 作者: 古処 誠二
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2015/09/10
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
僕の祖父はビルマ戦の帰還兵で、口を開けば戦争中の自慢話だ。自分が率いたのは世界最強分隊だったと誇り、現地の娘にモテたことなども得意満面に語る。何百回と繰り返される話だが、聞かないと鉄槌が下るのだ。だが、その祖父が入院し、うわごとで信じられない言葉を呟く…。たっぷり笑えて、時にハッと胸を衝かれる、男ばかり三代、ある一家の日々を描く。書店員さんが惚れこんで、弘栄堂ベスト2013大賞受賞!


古処誠二の作品を読むのは、2012年に読んだ「ニンジアンエ」(集英社)以来です。
いつも単行本で買っていた古処誠二ですが、この「死んでも負けない」 (双葉文庫)をきっかけに文庫を待つ形になりました。
というのも、上のあらすじにもある、戦争帰りの頑固じじいが物語の中心にいるユーモアもの、ということで、あまり好きなタイプの作品じゃないなぁ、と直感的に思ったからです。
その後の作品は、元の作風に戻っているのですが、一回単行本で買うことが途切れてしまうと、戻りづらくなってしまいました。

「死んでも負けない」の文庫化は奥付を見ると2015年。古処誠二の作品なので、さすがに文庫化されたらすぐ買いましたが、やはり食指が動かず積読へ。(もっとも積読はどの作家でもどの作品でも普通のことなので、ことさらいう必要はないのですが)

読み終わった結論からいうと、面白くは読みました。
戦争というキーワードでくくりだすのは単純化しすぎではありますが、古処誠二らしさも出ていました。
ただ、古処誠二には珍しいユーモア、家族小説という側面、この二つが正直すっきりしない。
これは、一にも二にも、キーパーソンである祖父のキャラクターが好きになれなかったから、です。
全く個人の好みの問題なので、小説としての優劣、巧拙を表しませんが、合わないものは合わない、でした。残念。

この後、作風は元に戻って、「死んでも負けない」のような作品は書かれていないようです。
解説では「続編を期待したい」とありますが、個人的には安堵しています。





タグ:古処誠二
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