三世代探偵団 生命の旗がはためくとき [日本の作家 赤川次郎]
<帯あらすじ>
「また殺人?」
「仕方ないよ。うちはそういう家なんだもの」
天才画家の祖母、マイペースな主婦の母と暮らす女子高生・天本有里。有里の同級生が殺人事件に遭遇したことをきっかけに、三世代は裏社会の抗争に巻き込まれていく。二つの裏組織が対立するなか、ボスの子供同士が恋に落ちて武力闘争の危機が訪れる。闘争阻止のカギを握るのは三世代!?コーヒー香る天本家の居間で、作戦会議が開かれる―。
単行本です。
「三世代探偵団 次の扉に棲む死神」(感想ページはこちら)
「三世代探偵団 枯れた花のワルツ」(感想ページはこちら)
に続くシリーズ第3弾です。
「三世代探偵団 枯れた花のワルツ」が出たのが2020年1月で、この「三世代探偵団 生命の旗がはためくとき」が2020年7月ですから、かなりハイペースで書かれていることになります。
このシリーズを書くの、楽しいのでしょうね、きっと。
もう、このシリーズならではの意義とか特長とかは考えずに、物語を楽しむことにします(笑)。
「好きで係わってるわけじゃないよ。事件の方から寄って来るんだもん」
「ミステリー小説の探偵みたいなこと言わないで」(45ページ)
と母娘で会話を交わしていますが、まあ、見事に飛び込んでいくこと(笑)。赤川次郎らしいですね。
今回は、裏社会の抗争に巻き込まれるという......
赤川次郎の作品は、ユーモアミステリとしてくくられることが多いですが、意外と後味の悪い作品も多いんですよね。
この「三世代探偵団 生命の旗がはためくとき」も、その例の一つといえるのではないでしょうか?
その後味の悪さを救いというか、緩和するのが、シリーズキャラクターたち、ということになるのでしょう。
ところで、「三世代探偵団 枯れた花のワルツ」に出てきた加賀和人はどうしたんだ!?
有里の恋人役じゃなかったのですか? 彼の活躍に期待していたのですが。
<蛇足>
「女ばかりの三世代家族。互いの自由は尊重しながら、隠しごとはしない、という方針である。
人生経験豊富な祖母、幸代が、やはり適確な判断を下す場合が多いというのも事実なのだ。」(45ページ)
小中学校の国語の授業みたいな指摘で恐縮ですが、やはり的確と書いてもらいたいです。
特に赤川次郎は小中学生の読者も多いと想定されますから。