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何様ですか? [日本の作家 さ行]


何様ですか? (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

何様ですか? (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 枝松 蛍
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2016/07/06
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
中学時代に養父から性的暴行を受けた女子高生・平林美和は、義父に殴り殺された弟 “ユウちゃん” を内面化し、その囁きに従って “ファイナルプラン” と名づけられた大量殺人計画を遂行しようとする。一方、倉持穂乃果は意識が高く社交的で、自らの日常や読んだ本の感想をブログに書き続けていた。そんな倉持を嘲笑しながら着々と計画を進める平林であったが、その先には思いがけない事態が――。


2016年の『このミステリーがすごい! 』大賞・隠し玉作品です。
前回感想を書いた才羽楽の「カササギの計略」 (宝島社文庫)と同時刊行。
あちらがホワイトどんでん返し、こちらがブラックどんでん返し、というのが出版社の謳い文句です。

「カササギの計略」 (宝島社文庫)は到底ホワイトとは思えない(&受け入れがたい)という感想を抱きましたが、この枝松蛍の「何様ですか?」 (宝島社文庫)は、宣伝文句通りブラックですね。
ただ、ブラックとはいっても、登場人物がブラックというにとどまらず、作者がブラックです(笑)。

おそらくはほとんどの読者の想定を超えたラストを迎えると思うのですが、超え方がねぇ......
超えたというよりはむしろ、ずれた、と言いたくなるような感じです。
どんでん返しは確かにどんでん返しなのですが......

福井健太の解説で
「本作は三つの視点――平林の独白、男子が兄に宛てた手紙、倉持のブログで構成されている。平林のパートは辛辣な思考と言動に満ちており、とりわけ小説家・星村しおりの扱いは凄まじい。しかし人間の悪意は一様ではなく、あらゆる角度に増殖し、際限なく深化しうるものだ。その相克を通じてより強い悪意を描くドス黒い物語なのである。」
と書かれていて、見事な要約に感心しますが(だから引用しちゃったのですが)、いや、まさかねぇ。物語がそういう方向に向かうとはねぇ。

到底おすすめはできませんが、とにかく不快な話、強烈な話が読みたい方に(笑)。


<蛇足>
「特定の異性に入れ込んでいることを『夢中』と表現するのは最も気持ちの悪い言葉の使い方のうちのひとつだ。」(36ページ)
皮肉のきいた文章ではありますが「最も~のうちのひとつ」という気持ちの悪い表現が使われていて笑ってしまいました。




タグ:枝松蛍
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