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運河の追跡 [海外の作家 か行]

運河の追跡 (論創海外ミステリ)

運河の追跡 (論創海外ミステリ)

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2020/07/03
  • メディア: 単行本



単行本です。
論創海外ミステリ125。
アンドリュウ・ガーヴの作品は、「殺人者の湿地」 (論創海外ミステリ)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)以来ですね。

論創ミステリの常としてあらすじがないのですが、帯に
「連れ去られた娘を助けるべく東奔西走する母親
 残された手掛かりから監禁場所を探し出せるのか」
と書かれています。

娘を連れ去るのが夫だ、というのがおもしろいポイントですね。ちょっと現代的な感じがします。
(ちなみに娘は一歳なので、「監禁」というのはあまり適切な語とは思えないのですが)

娘を捜索するやり方が、極めて行き当たりばったりなのが気になりましたが、素人だとこんな感じになってしまうのかもしれませんね。
途中で運河をボート(長さが30~40フィート、幅が6フィートで船室も二部屋あるというのですから、日本語の感覚では船といった方がいいかもしれませんね)を借りて探しに行くことになって、娘を探すにしては少々牧歌的な展開です。ボートを航行させる様子が割と詳しく書かれていて興味深かったですね。

薄い本なので少々あっけない感じもしてしまいますが、さらっと読めてよかったです。


<蛇足1>
「レナはナイツブリッジのフラット式アパートメントに住んでいる」(27ページ)
イギリスでは日本でいうところのアパートメントやマンションを、フラットと呼びますが、それをフラット式アパートメントとは、なかなか思い切った新語を作られましたね。

<蛇足2>
「王立裁判所の向かいのビルに着くと、鈍いエレベーターに乗り」(50ページ)
鈍いエレベーター? どういう意味だろう、と悩みました。
動きの遅い、ということ? 操作をしても反応が鈍い、ということ?

<蛇足3>
「もっと良い案があればいいのだが、今だに思いつかない、」(140ページ)
正しくは「未だに」ですね。ちなみにぼくのPCの変換では「今だに」というのは出てきませんね。
同じページに「クリスティーンさえいてくれれば!」という誤植(?) もあります。

<蛇足4>
「もう、夫に抱いていた感情は完全に消えた。」(199ページ)
あまりの直訳に苦笑してしまいます。
ここは日本語の感覚では、感情よりは愛情でしょうねぇ。
中学生の英文和訳を読まされているような文章がいっぱいあって、困りものの翻訳でした。


原題:The Narrow Search
作者:Andrew Garve
刊行:1957年
訳者:菱山美穂




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