SSブログ

影と陰 [海外の作家 ら行]

影と陰
イアン・ランキン
ハヤカワ・ミステリ文庫


影と陰 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

影と陰 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: イアン ランキン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
隠れろ、隠れろ、隠れろ、隠れろ……憑かれたようにその言葉を繰り返していた青年は、不法占拠された住宅で怪死した。現場に向かったリーバス警部は、状況の異様さに驚愕する。死体の側には二本の蝋燭が溶けかけ、室内の壁には五芒星が描かれていたのだ。カルト宗教がらみの犯罪に巻きこまれたのか? まもなく被害者がある写真に固執していた事実が明らかになるが……町を浸食する濃く深い闇に、リーバスが闘いを挑む。

奥付を見ると2006年4月発行ですから、5年以上も積読だった...
「紐と十字架」 (ハヤカワミステリ文庫)に続く、リーバスものの第2作。
後に英国推理作家協会賞(CWA賞)やアメリカ探偵作家クラブ賞(MWA賞)を受賞するシリーズの初期作なのですが、どうやら既に品切れ(絶版?)状態のようです。日本では警察小説がこのところはやっているというのに、海外が舞台だとだめで売れないのでしょうか? 続けて第3作以降も翻訳してもらえるのかと思っていたのに、第7作「血の流れるままに」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)まで飛んじゃう状態は解消していません。
エジンバラが舞台です。エジンバラ、というと、どうしても美しい街並みを連想してしまうのですが、オカルト(黒魔術です)、麻薬、ゲイの売春、違法な闘犬...と、裏の姿を描き出しています。エジンバラも、その点ではどこにでもある、光と影を持った大都市、ということなのでしょう。
「ジーキル博士とハイド氏」を出発点にした物語で、テーマ、真相ともに、その趣旨にきちんと沿っています。事件も、人物配置も手堅くまとめられていて、警察小説の佳品だと思います(もっともそのせいで、真相に想像がつきやすくなってしまっていますが、意外性を尊ぶ作風ではないので、この作品の場合欠点にはならないと思います)。
しかし、リーバスのキャラクター、SAS(英国陸軍特殊空挺部隊)での訓練の影響が出ているという設定とはいえ、ひとりよがりというか、自分勝手で、まわりと摩擦いっぱいです。そこまで邪険にしなくても...と思うことしばしば。視点人物をこういう設定にすると、感情移入しにくくて、たいへんだと思うのですが、ランキンは臆することなく(?)堂々と物語を進めていきます。ちょっと変なところに感心してしまいました。
第3作の翻訳は出そうもないので、ランキンとしては、次は第7作を読むことになりますね--いつになるかわかりませんが。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0