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デクスター 闇に笑う月 [海外の作家 ら行]


デクスター 闇に笑う月 (ヴィレッジブックス)

デクスター 闇に笑う月 (ヴィレッジブックス)

  • 作者: ジェフ ・リンジー
  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2010/05/20
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
昼はマイアミ・デイド郡警察で働く鑑識チームの好青年。しかしながら、夜は血に飢えた連続殺人鬼――それがデクスター・モーガンの人知れぬ日常だ。獲物は自分と同じ冷酷な殺人者たち。だが彼の二重生活は、ある奇妙な事件を機に思わぬ方向へと転がりだす。被害者は全身を切り刻まれて、生きたまま放置されたヒスパニック男性。あまりの凄惨な現場にだれもが戦慄するなか、デクスターだけは見たこともない手口に好奇心をおぼえ、“公私”ともに犯人を追いはじめる。やがて捜査関係者と犯人の意外なつながりが浮上し、第二・第三の被害者が……。話題沸騰! 衝撃の海外ドラマ『デクスター』原作第2弾。

2010年ゴールデングローブ賞に輝くドラマ「デクスター」原作のシリーズ第2作です。
ドラマを観てはいないのですが、この原作シリーズもなかなか評判がよさそうだったので読みたいなと思っていました。
このシリーズは、
「デクスター 幼き者への挽歌」 (ヴィレッジブックス)
「デクスター 闇に笑う月」 (ヴィレッジブックス)
「デクスター 夜の観察者」 (ヴィレッジブックス)
と3冊訳されています。
ところが1冊目の「デクスター 幼き者への挽歌」 が絶版状態。やむなく2冊目から手に取ることにしました。
お話は、デクスターが行う殺人の話、デクスターのプライベートの話、そしてデクスターとは別の連続殺人犯の話、の大きく分けて3つが、デクスターの視点から語られます。そう、本書の語り手はデクスター。一人称です。
まず、この語り口がこのシリーズの最大の特徴なのだと思われます。絶好調。とても楽しい。
連続殺人犯の語り口を「楽しい」と評するのは、問題あるのでは、とも思いますが、楽しいものは仕方がないですね。皮肉の効いた、余裕ある語り口で、近頃こういう語り口の作品はないなぁ、もっと読みたいなぁ、と思いました。
たいした予備知識なく、シリーズ第1作を読まずに第2作から読み始めましたので、「人間ではない怪物であるわたし」(P78)、「じっさいは怪物、本当は人間にまじって暮らす権利もない存在」(P299)なんて書いてあるものだから、ひょっとして宇宙人とかSF的設定なのかな、なんて勘ぐりながら読みましたが、そういう仕掛けはなさそうですね。人を殺さずにはいられない自分のことを、自嘲気味に表現しているのですね。
プライベートの話でのエピソードが、ほとんどコメディの領域で、おもしろいです。子供との交流とか、デクスターが婚約(!)するとか、第2作目の本書から読んでも十分楽しめました。
ミステリー的に中心となるデクスターとは別の連続殺人犯の話は、こっちはこっちで残虐で恐ろしい犯人です。ミステリーとしては定番通りの展開を手堅く見せるので、物足りないと思うかたもいらっしゃると思いますが、いえいえ、そんなことはありません。犯人を理解し(犯人にユーモアのセンスがあることに気づき)、「心底、この男と会いたくてたまらなくなった」(P204)なんていうデクスターも相当恐ろしいのですが、そのデクスターの視点から見ると、なんだかいつものサイコ・サスペンスとは景色が違って見えるところが、このシリーズの最大のポイントなのでしょう。おもしろい。ドラマも観てみたくなりますね。
婚約者リサの子供コーディに芽生えているものが、今後どうなっていくのかも注目です。
我慢できなくて、Amazon.co.jp のマーケットプレイスで、絶版の第1作「デクスター 幼き者への挽歌」 を買ってしまいました。
ちなみに、本書の原題は、Dearly Devoted Dexter。Dでそろえていていいですね。
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コメント 2

まっきー☆

デクスター、このドラマ大好きです!!
原作があることをまったく知りませんでした・・・。 ドラマは本当に面白かったので、原作はきっともっと!!!面白いでしょうね。 絶版なのが残念ですが読んでみたいですね☆
by まっきー☆ (2013-01-12 10:35) 

31

まっきー☆さん、コメントありがとうございます。
原作、本当におもしろかったですよ。この第2作と次の第3作は未だ絶版ではないので、本屋さんで探せばあると思います!
ドラマも観てみたくなりました。
by 31 (2013-01-15 23:20) 

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