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いたって明解な殺人 [海外の作家 さ行]


いたって明解な殺人 (新潮文庫)

いたって明解な殺人 (新潮文庫)

  • 作者: グラント ジャーキンス
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/03/29
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
頭を割られた妻の無惨な遺体……その傍らには暴力癖のある知的障害の息子、クリスタルの灰皿。現場を発見した夫アダムの茫然自失ぶりを見れば犯人は明らかなはずだった。担当するのはかつて検事補を辞職し、今は屈辱的な立場で検察に身を置くレオ。捜査が進むにつれ、明らかになるねじれた家族愛と封印された過去のタブー。めくるめくツイストも鮮やかな、心理×法廷サスペンス!

原題は A Very Simple Crime。Simple が 「単純」ではなく「明解」と訳されています。なるほどねー。
最近の翻訳ミステリにしては短く、334ページ。
三部構成になっていまして、第一部は、夫アダムの目で妻レイチェルの死までを描いています。障害を抱えた息子アルバート。冷えた夫婦生活。浮気しているアダム。視点人物に設定されているので緩和されて受け止めますが、このアダムという男、結構嫌な奴です。
第二部は一転、捜査側にあたる下級検事補レオの視点。この検事補、かつては一線に立っていたのに、失敗をし今は冷や飯を食っていて、この事件に賭けています。よくある設定といえばそうなのですが、検事局内の権力争い(?)を含め、短い中ですっきり。
第三部はアダムを被告人とした法廷劇。弁護人はアダムの兄モンティ。この第三部後半の怒涛の展開が本書のキモです。伏線がカチッ、カチッと音を立てていくように回収されていく様子が楽しめます。
アダムが嫌な奴だったことも結構効果をあげています。
帯で「めくるめくツイスト」と書かれているラストですが、ぼくはある作品(ネタバレになるので、タイトルは伏せます。ネタバレを気にされない方は、こちらをクリックしてリンクを確かめてください)を思い出しました。設定等はずいぶん違うのですが、狙いは同じ方向性だと感じました。その作品よりもこの「いたって明解な殺人」の方が一段手が込んでいると思ったのですが、いかがでしょうか?? 

蛇足1
とはいえ、好みでいうと、「いたって明解な殺人」よりもあちらに軍配が上がるのですが...

蛇足2
ところで、やっぱりこの作品、「いたって『単純』な殺人」の方が向いているのでは? なーんて考えたのですが。
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