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QED 伊勢の曙光 [日本の作家 高田崇史]


QED 伊勢の曙光 (講談社文庫)

QED 伊勢の曙光 (講談社文庫)

  • 作者: 高田 崇史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/01/15
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
伊勢の鄙びた村から秘宝の鮑真珠を持参していた神職が、不審な墜落死を遂げる。事件解決へ協力を頼まれた桑原崇は、棚旗奈々とともに伊勢へ。しかし、二人を待ち受けていたのはシリーズ中最大の危機だった。果たして崇は、事件の真相と、日本史上最大の深秘「伊勢神宮の謎」を解けるのか? 「QED」完結編!


シリーズもとうとう最終巻。13巻っていうのも、ミステリらしくていいですね。
最終巻のテーマは伊勢神宮。
現実の事件の方は抛っておいて(失礼)、伊勢神宮と天照大神をめぐる三十の謎、てのがすごいです(474ページ)。ちょっとムリヤリっぽく数を増やしている観はありますが...

・何故、内宮より後に建てられた外宮から先にお参りするのか。
・何故、祭祀も外宮の方が先 -外宮先祭なのか。
・何故、外宮の様式は『男千木(おちぎ)』で、鰹木も奇数本なのか。 これは男神を祀っていることになるが、祭神は豊受大神-明らかに女神である。
・何故、五十鈴川を渡ってから下るのか。
・何故、外宮・内宮共に参道が九十度折れているのか。 天皇家の祖神が怨霊だというのか。
・何故、天皇は明治の御代まで公式参拝されなかったのか。
・何故、明治になって突然公式参拝されたのか。
・何故、鳥居に注連縄がないのか。
・何故、狛犬がいないのか。
・何故、賽銭箱がないのか。
・何故、神殿正面に鈴がないのか。
・何故、本殿正面に蕃塀が建てられてるのか。
・何故、興玉(おきたま)神をそれほどまでに祀るのか。二見浦に祀られている猿田彦命のことである。
・何故、倭姫巡幸で二十四ヶ所も転々としたのか。その資金は一体どこから捻出されたのか。
・何故、当時住みづらかった伊勢に落ち着いたのか。
・何故、五百年も経ってから豊受大神が呼ばれたのか。
・何故、二十年に一度、遷宮を行うのか。
・何故、伊勢参りにあれほど多くの人々が熱狂したのか。
・何故、伊勢白粉が梅毒に効くといわれるようになったのか。
そして
・天照大神は、本当に女神だったのか。
・天照大神は、蛇だったのか。
・天照大神は、『かはく』 『河童』だったのか。
・天照大神は、天岩戸で殺害されたのか。
・天照大神は、本当に天皇の祖神だったのか。
・天照大神は、何者なのか。
・天照大神は、卑弥呼だったのか。
・天照大神と、天照国照彦天火明櫛玉饒速日命との関係は。
・天照大神と、持統天皇の関係は。
・天照大神は、本当に伊勢に祀られているのか。
あとおまけ(?)
・そもそも『神宮』とは何なのか。

薀蓄系ミステリの最高峰と言っても過言ではなさそうなこのシリーズのラストを飾る謎として、伊勢神宮はなかなかよいな、と思いましたが、高田流史観といいますか、このシリーズを通して繰り返し繰り返し読者に伝えられてきたことが底流となっているので、通念が大きく覆される快感は、愛読者には少な目?
伊勢神宮の祭神や、天照大神をめぐる真相(?) はかなり衝撃的なはずなんですが(そしてなにより、ミステリ的に解かれているのが素敵なんですが)、なんだかすーっと流れてしまったような気がします。
でも、いいんですよね、これで。言ってみれば、ボスキャラと対決したんですから。
ボスキャラとの対決時に、いちいち驚いていたら....お話がめちゃくちゃになってしまいますよね。

それにしても、タタルと奈々、うまくいったんですよね、このラスト。
ここまで長々と付き合ってきたんだから、はっきり書いてくれたらいいのになぁ。最後くらい。

ということで、シリーズ完結めでだしめでたし。
ミステリの中で、個性光るシリーズです。

<蛇足1>
「大師は弘法に奪われ、黄門は光圀に取られた」(318ページ)という言葉知りませんでした。おもしろい言葉ですね。

<蛇足2>
目次に続く、あとがきの暗号、わかってうれしかったです。
でも、これ、暗号というよりは、言葉遊びでしょうか?

<蛇足3>
最後にさらっと、明治神宮をめぐる謎(祀られている明治天皇が怨霊!?)が提示されていますが、これって、解決なし??

<蛇足4>
この作品のタイトル、あけぼの、ってふりがなが振ってありました。


最後にシリーズをまとめて掲示してみます。

No. 作品名 書影
1 QED 百人一首の呪 QED 百人一首の呪 (講談社文庫)
2 QED 六歌仙の暗号 QED 六歌仙の暗号 (講談社文庫)
3 QED ベイカー街の問題 QED ベイカー街の問題 (講談社文庫)
4 QED 東照宮の怨 QED 東照宮の怨 (講談社文庫)
5 QED 式の密室 QED 式の密室 (講談社文庫)
6 QED 竹取伝説 QED 竹取伝説 (講談社文庫)
7 QED 龍馬暗殺 QED〈龍馬暗殺〉 (講談社文庫)
8 QED 鬼の城伝説 QED 鬼の城伝説 (講談社文庫)
9 QED 神器封殺 QED 神器封殺 (講談社文庫)
10 QED 河童伝説 QED 河童伝説 (講談社文庫)
11 QED 諏訪の神霊 QED 諏訪の神霊 (講談社文庫)
12 QED 出雲神伝説 QED 出雲神伝説 (講談社文庫)
13 QED 伊勢の曙光 QED 伊勢の曙光 (講談社文庫)


番外編? が4冊あります。
No. 作品名 書影
1 QED~ventus~ 鎌倉の闇 QED~ventus~〈鎌倉の闇〉 (講談社文庫)
2 QED ~ventus~ 熊野の残照 QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社文庫)
3 QED~ventus~御霊将門 QED~ventus~御霊将門 (講談社文庫)
4 QED ~flumen~ 九段坂の春 QED ~flumen~ 九段坂の春 (講談社文庫)



<2017.03訂正>
タイトルが間違っていました。
今頃気づきました。きちんと伊勢の曙光に修正しました。
タグ:高田崇史 QED
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