SSブログ

花嫁をガードせよ! [日本の作家 赤川次郎]


花嫁をガードせよ! (ジョイ・ノベルス)

花嫁をガードせよ! (ジョイ・ノベルス)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2017/12/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


<裏表紙あらすじ>
甘い生活は夢のまた夢?
結婚を控えた女性警官・西脇仁美は、暗殺されかけた政治家の蔵本をかばって撃たれてしまう。偶然通りがかった女子大生・塚川亜由美と愛犬ドン・ファンの気転で一命をとりとめるが、けがが原因で歩くことができなくなり、新聞記者の彼との婚約も解消されそうだ。その上、蔵本を撃った男は取り調べ中に自殺をしてしまったという。事件の裏には大きな闇がうごめくようで――!? 大人気シリーズ第31弾!(ほか「花嫁は日曜日に走る」収録)


花嫁シリーズも31作目です。
毎年年末に新刊が出るシリーズですが、「四次元の花嫁」 (実業之日本社文庫)の感想(リンクはこちら)のあと、シリーズ新刊も折々で購入し読んではいましたが、感想を書けていません。
間に
「演じられた花嫁」 (実業之日本社文庫)
「綱わたりの花嫁」 (ジョイ・ノベルス)
の2冊が抜けています。

表題作「花嫁をガードせよ!」と「花嫁は日曜日に走る」の2話収録。
どちらもストーリーに無理がありますね。

「花嫁をガードせよ!」は政治家襲撃事件を扱っているのですが、あまりにも非現実的すぎてびっくりします。
こういうストーリーに、亜由美とドン・ファンは似合わないと思います。
しかし、殿永刑事ってどんだけすごい刑事なんでしょうね?
「必ずあなたの身を守ります。」(125ページ)って、そりゃ、そう言わないといけないと思いますが、この種の事件が現実になったとして、一介の刑事(失礼な言い方ですが)が保証できるとは思えません...かっこいいけど...
あと、ラストシーン、記者会見場が舞台になっているのですが、途中から記者たちがまるでいないかのよう... ちょっと気になりました。

「花嫁は日曜日に走る」は「花嫁をガードせよ!」よりもっと無理があります。
無理というか、プロットが無茶苦茶です。オリンピック開催にかかわる利権を背景にしているようですが、あまり考えずに書き飛ばされたのでしょう。
亜由美とドン・ファンが少女の命を救うところから物語はスタートするのですが、この少女の家も放火されていることがわかる。
少女ではなく母親が狙われたのだということが臭わされるのですが、はっきりとは書いていない。
黒幕は早々に出てくる上に、165ページで決定的な場面が描かれます。
しかし、臭わされている理由で、放火しますか? 娘まで狙いますか?
悪辣な政治家や企業家が出てきたら、何をやらせてもよいとでも思っているのでしょうか?
一方で、もうひとつ少女の陸上部でのエピソードが絡むのですが、それと上に書いた165ページの場面との連関がわからない。一歩どころか百歩譲って繋がりを持っているとしても、高校と政治家・建設会社が結びつこうとする理由がわかりません。
さらに、
「スポーツは、それ自体に価値があるのだ。オリンピックなんて、一つの機会にすぎない。そんなものに、人々が振り回されて、それのどこにスポーツの喜びがあるのだろう」(141ページ)
と極めてストレートかつダイレクトに作者の主張が顔を出すのも興ざめです。
ずいぶん残念な作品に仕上がっていますね。
ところでこの話、高校生がメインの話で、花嫁はまったく関係ないです...結婚に近そうな女性は登場しますけれども... これでいいのでしょうか?

<蛇足>
あらすじに書かれている「ドン・ファンの気転で」の「気転」。
機転の間違いでは? と思ったのですが、気転も辞書に載っていますね...


<さらなる蛇足>
本日、イングランドがフットボール(日本ではサッカーと呼ぶスポーツです)のワールドカップで、3位決定戦でベルギーに敗れました...

nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 13

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。