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ポイントブランク [海外の作家 アンソニー・ホロヴィッツ]

ポイントブランク (集英社文庫)

ポイントブランク (集英社文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/08/21
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
事故死した叔父の後を強引に継がされてM16のスパイとして大活躍してしまった14歳の少年、アレックス・ライダー。スパイなんてこりごりと決めていたのに、またもや任務を押しつけられる。相次ぐ実力者たちの謎の死。その鍵を握る、雪山にたたずむ私立学校『ポイントブランク』。そこに潜入したアレックスは、世にも不思議で恐ろしい計画を目にする……。大好評のシリーズ第2弾。


2020年最初に読んだ本です。
表紙絵が、荒木飛呂彦さんというのがポイント高いこのシリーズ、「ストームブレイカー」 (集英社文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)に続く第2作です。

アメリカ人大富豪ロスコーが暗殺されるところからスタート。
そのあと場面はかわり、主人公であるアレックスが、大立ち回りを演じるシーン。
で、そのせいで警察に目をつけられ、MI6に救われ(!)、結局スパイに世界に逆戻り......
この立ち回りをみると、嫌だとか言いながら、アレックク、スパイ的な仕事やりたいんじゃないの、と思えてきます(笑)。

今回の任務は、フランスとスイスの国境にある、POINT BLANC という名の寄宿学校。
問題児のための学校として知られ、どうやら、ロスコ―の息子も学んでおり、問題のロスコ―の死にもかかわりがあるあやしい学校らしい。

いいではないですか、こういうの。

前作「ストームブレイカー」では、潜入の前にSASの特訓を受けたわけですが、今回は息子になりすますために、大富豪であるデビッド・フレンドのお屋敷へ。
そこで、実際の娘に嫌われ、ひどい目にあいます(笑)。
このエピソード、おもしろいことはおもしろいのですが、それにとどまっていて、あとで何かの伏線として効果をあげればよかったのにな、と思いました。

潜入に当たって、今回も特殊なガジェットをMI6から与えられるのですが、今回は問題児向けということで厳しい学校であることから、かなり限られたものになっています。MI6の武器係スミザーズさんも苦労しますね。
断熱効果が高くて、防弾、ショックの吸収機能もついているスキースーツ。
赤外線の暗視機能がついているゴーグル。
電動ノコギリに早変わりするCDプレーヤー、緊急連絡用ボタンつき。
ピアス型の強力爆弾。
そして麻酔針を撃ちだす「ハリー・ポッターと秘密の部屋」
それぞれどう使うのかな、と考えながら読んで楽しかったですね。

「ストームブレイカー」の悪だくみも相当荒唐無稽感ありましたが、今回のも。空想科学的、とでも言いましょうか。
しかも、狙いどころ、ターゲットが悪いように思いました。これだと、富と権力を思いのまま、とはいかないのではなかろうかと。

<蛇足>
ネタバレなので、以下全部色を変えます。
アレックスが、クローンに対し 「きみのお父さんは、試験管だよ!」 「きみには父親も母親もいないんだ。化けものじゃないか」(283ページ) というシーンがクライマックスにあるのですが、クローンにも人格というものがあるんじゃないかな、と思えました。 悪だくみの首魁である博士のクローンだから人格も歪んでいるので、こういう非難を浴びせてもいいのでしょうか? 宮部みゆきなどの影響からか、ちょっとそんなことを考えました。


原題:Point Blanc
作者:Anthony Horowitz
刊行:2001年
訳者:竜村風也





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