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ファイナル・ゼロ [日本の作家 な行]


ファイナル・ゼロ (集英社文庫)

ファイナル・ゼロ (集英社文庫)

  • 作者: 鳴海 章
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/10/19
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
南米のコカインを駆逐せよ! ホワイトハウスから命を受けた退役将軍バーンズは、作戦の遂行を宿敵にして最良の友、那須野治朗に託す。那須野はキューバへ飛ぶが、愛機「ネオ・ゼロ」は敵に爆破されてしまう。絶体絶命の窮地の中、那須野とチーム・ゼロのメンバーは賭けに出る。伝説のパイロット、ぶれない男の生きざまの物語、ついにクライマックス。発表から25年冷めない熱。シリーズ感動の最終話。


2022年1月に読んだ3冊目です。
鳴海章の復刊されたゼロ・シリーズ第4弾にして最終作。
「ゼロと呼ばれた男」 (集英社文庫)(感想ページはこちら
「ネオ・ゼロ」 (集英社文庫)(感想ページはこちら
「スーパー・ゼロ」 (集英社文庫)(感想ページはこちら
に続く作品です。
このあと「レジェンド・ゼロ1985」 (集英社文庫)という作品が2021年に出版されていますが、シリーズなのかどうか確認していませんが、タイトルからして前日譚という位置づけなのかなと考えています。

ちょっと引用したあらすじは、先までストーリーを明かしすぎですね......
「ネオ・ゼロ」をめぐる攻防は物語の大きな要素なのに。

今回は部隊がほぼほぼ中南米で、目標はペルー。
この物語では、ペルーの大統領はフジタ。両親が第二次世界大戦の直前に熊本からペルーに入った日系一世で本人は日系二世(85ページ)。これ、どうみても実在のフジモリ大統領を思い起こさせますね。
「反政府勢力の資金源であるコカイン市場を席巻し、ゲリラ組織を根本から叩き、次いでコカイン売買で得た金を軍の強化と政治基盤の拡充にあてる。さらにドルを獲得して国内市場に投下することによってインフレに歯止めをかけ、最終的には、安定した財源をベースにエネルギー資源開発を進めることまでを目的としている。」(87ページ)
描かれる政治手法も近いような。もっともコカイン・ビジネスにまで手を染めていたとは思いませんが。
そして、そのフジタと手を組んでいるのが日本商社の財閥系総合商社。こちらも利権があるとはいえ、コカインまでやるとは思えませんが。

主要人物として、那須野(ゼロ)にあこがれていたという元自衛官が出てきます。
彼のキャラクター、結構気に入ってしまいました。
那須野の口から「好きな女」の話を聞きだすという大手柄(!)。
例の亜紀の写真を持ち歩いているというのですから、
「ずっと持ち歩いているんですか?」
「捨てる理由がなかった」(267ページ)
那須野もなかなかです。
「やはり私はあなたを追いかけて正しかったと思いますよ」(419ページ)
なんということもないセリフですが、物語終盤にふさわしくていいですね。

エチケットとしてエンディングには触れないこととしますが、ゼロシリーズの終着点として、ああ終わったんだな、という感慨を抱きましたが、同時に、このエンディングでよいのだろうかと思いました。
ゼロと呼ばれた那須野に似つかわしいといえば似つかわしいのですが、一方で、まったく似合っていないとも言えます。



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