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ぼくが愛したゴウスト [日本の作家 あ行]

ぼくが愛したゴウスト
打海文三
中公文庫
ぼくが愛したゴウスト (中公文庫)

ぼくが愛したゴウスト (中公文庫)

  • 作者: 打海 文三
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/10
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
臆病で生真面目だけど、十一歳のごく普通の少年・田之上翔太。生まれてはじめて、ひとりで行った人気ロックバンドのコンサートの帰り、翔太は駅で人身事故発生の瞬間に居あわせてしまう。それを境に彼は、この世界に微かな違和感を抱きはじめるのだが――。
残酷で理不尽な世界に立ち向かう少年の、愛と恐怖の旅立ちの物語。

伊坂幸太郎が誉めている作品です。文庫の解説も書いています。
「ぼくが愛したゴウスト」というタイトルから、好きな女の子が死んで幽霊としてあらわれて、とかいうストーリーを想像していました。まったく違います。
パラレルワールドに迷い込んだ主人公。そこは、イオウのような腐った臭いがして、笑顔が不自然で、心を持たない、そして、尻尾のある(!)人間の世界。本物そっくりだけど、家族もそう。
この状況、つらいですよね、きっと。十一歳でそこに放り込まれるって、残酷だなぁ。
ストーリーとしては、どうしてこの世界に来たのか、どうやったら元の世界へ戻れるのか、を主人公が追い求めることが主旋律ではありますが、その過程で主人公がいろいろと考えて、まさに成長していくところにこの作品のポイントはあります。心がある人間が逆に珍しいので、国家の研究対象となって、いろいろと考察がされて。心を持たない人間に囲まれることによって、心の意味を知る、というか...
「翔太が恋に落ちれば一発でわかる。心がなくても愛は可能なの」(P224)というせりふは衝撃的でした。想像力が足りなくて、いまだによくわかりません。可能なんですかね?
最後の方で提示される、パラレルワールドの解釈は予想がつくかもしれませんが、ラストの「静謐な」とでも形容できそうなたたずまいは--描かれていること自体は静謐ではないのですけれど--、強く迫ってくると思います。
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