SSブログ

よろずのことに気をつけよ [日本の作家 か行]

よろずのことに気をつけよ
川瀬七緒
講談社

よろずのことに気をつけよ

よろずのことに気をつけよ

  • 作者: 川瀬 七緒
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/08/09
  • メディア: 単行本


<帯あらすじ>
被害者は呪い殺されたのか! ――謎が謎を呼ぶ、呪術ミステリーの快作。変死体のそばで見つかった「呪術符」の意味は? 呪いと殺人の謎に文化人類学者が挑む! 第57回江戸川乱歩賞受賞作。

昨日の「完盗オンサイト」同様、本作も、第57回江戸川乱歩賞受賞作。単行本です。

「バランス感覚がすぐれている」と巻末の選評でも今野敏が指摘しているように、すこしずつ真相に迫っていく手順がよくできています。
帯にも「呪い殺されたのか?」とある通り、呪術が展開の中心に据えてあって、「呪い」なんていう非合理的な要素を持ってくるのだから、やりようによっては派手な展開にもできたでしょうに、手堅く、非常に地味~な作品になっています。「呪う」ということは、恨みを晴らすとか復讐するとかいうことであるので、裏返せば被害者側に過去の悪事があるわけで、その被害者の身内サイドから事件を追うので、トーンがとても暗くなります。
本格的に呪おうとした形跡なのに、呪いの成就を待たずに(?)殺してしまったのはなぜか? という謎はミステリとしては魅力的で、この謎を核に据えてもらえるとすごいなぁ、という期待も持ちつつ読み進んだのですが、作中の扱いはあっさりしていて、種明かしもちょっと肩すかしというか、不満の残るかたち。作者の狙いはここになかった、ということでしょう。
被害者側の「悪事」もちょっと作りすぎではないかと思いました。もっとも、それくらいにしないと、呪う対象として不十分だと作者は考えたのかもしれませんが。
謎がつながっていく、あるいは、謎が解けていく展開・構成は確かなので、次回作はもうすこし明るいトーンになる題材で書いてもらえるとありがたいです。本作のラストシーンからも、ただ暗いだけの話にはしないという作者の意志が感じ取れると思いますので、期待します。

2014.2追記
文庫化されていましたので、書影を追加します。

よろずのことに気をつけよ (講談社文庫)

よろずのことに気をつけよ (講談社文庫)

  • 作者: 川瀬 七緒
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/08/09
  • メディア: 文庫



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0