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デス・コレクターズ [海外の作家 か行]


デス・コレクターズ (文春文庫)

デス・コレクターズ (文春文庫)

  • 作者: ジャック カーリイ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
死体は蝋燭と花で装飾されていた。事件を追う異常犯罪専従の刑事カーソンは、30年前に死んだ大量殺人犯の絵画が鍵だと知る。病的な絵画の断片を送りつけられた者たちが次々に殺され、失踪していたのだ。殺人鬼ゆかりの品を集めるコレクターの世界に潜入、複雑怪奇な事件の全容に迫ってゆくカーソン。彼を襲う衝撃の真相とは。

「百番目の男」 (文春文庫)に続く第2作です。
「百番目の男」は、とんでもない動機(?)を扱ったサイコ・スリラーでしたが、今回は比べると普通のサイコ・スリラーです。
サイコな犯人に加えて、タイトルにもなっているコレクター……殺人鬼ゆかりの品を集めるコレクターの世界に焦点を当てています。コレクターといわれる人種は、まわりからみればちょっとおかしいこともよくある話で、その意味ではサイコに近い群像ですから、親和性が高かったのかもしれません。
前作と打って変わって、非常に現実的な目的をもった事件として立ち上がってくるラストが見事で、サイコで狂っているだけ、狂人の論理しか通用しない犯人より、怖いかも。その意味で、サイコ・スリラーに新しいひねりを加えた作品だと思います。
「百番目の男」「このミステリーがすごい! 2006年版」第6位で、本作は「このミステリーがすごい! 2008年版」第7位と順位は下がっていますが、前作のとんでもなさ、というインパクトが薄れたせいだと思われ、ミステリとしての腕前はあがっているように感じました。
主人公で刑事のカーソンの物語、としての筋立ても組み込まれていて、カーソン自身が題材となる要素も事件に関係してきます。また、去って行ったアヴァ、同僚のハリー、積極的にかかわりを持ってくるTV記者ディーディー、そして欠かすことのできない兄ジェレミーに囲まれて、ほのかに青春小説の趣もあります。
このあと第3作「毒蛇の園」 (文春文庫)も翻訳されています。こちらも読みます。


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