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ガリレオの苦悩 [日本の作家 東野圭吾]

ガリレオの苦悩 (文春文庫)

ガリレオの苦悩 (文春文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/10/07
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
悪魔の手”と名のる人物から、警視庁に送りつけられた怪文書。そこには、連続殺人の犯行予告と、帝都大学准教授・湯川学を名指して挑発する文面が記されていた。湯川を標的とする犯人の狙いは何か? 常識を超えた恐るべき殺人方法とは? 邪悪な犯罪者と天才物理学者の対決を圧倒的スケールで描く、大人気シリーズ第四弾。

「探偵ガリレオ」 (文春文庫)
「予知夢」 (文春文庫)
「容疑者Xの献身」 (文春文庫)
と続いているガリレオ・シリーズの第4弾。
福山雅治と柴崎コウによるドラマと映画のおかげで、ミステリ・ファン以外にも広く親しまれているシリーズだと思います。
この作品の後も、
「聖女の救済」 (文春文庫)
「真夏の方程式」(文藝春秋)
と快調に書き進められています。
このシリーズ、長編だった「容疑者Xの献身」 は別にして、「探偵ガリレオ」「予知夢」 については、東野圭吾の作品ですからつまならいということはないものの、どことなくピンとこないというか、すっきりしないものを感じていました。
科学トリックを扱っていて、一見不可能とか無理な事態を引き起こしてくれるわけですが、そうだったのか! と膝を打つなんてことはなく、あーそーですか、とか、ふーんそんなこともできるんですねー、とかちょっぴり冷めた感想になってしまいがちでした。一般的でない知識に重きを置いたトリックやミステリは、それだけでは(目新しい知識を披露するだけでは)共感を得るのが難しい。その意味では、福山雅治という非常に女性に人気のタレントが演じたドラマでは、視覚的にトリックが理解しやすかったことに加え、「さすが福山さん、こんなことも知ってるんだ! ステキ」という方向からの理解が得やすかったので、むしろ映像化に向いているのかもしれません。
と、そんなもやもやを抱えながら読んでいたシリーズなのですが、この「ガリレオの苦悩」はちょっと様子が変わっています。
タイトル通り、ガリレオが苦悩し、人間らしくなった(前作の長編「容疑者Xの献身」 でもその傾向はでていましたが)、ということもありますが、科学トリックの扱い方が変わってきてるように思います。科学で不思議な現象を実現するという演出で中心が科学トリック、すなわち科学トリックを見せることが目的だったのが、この作品では科学トリックが捨て石だったり、見せ球だったりと、科学トリックを出発点にし、その奥へ進む作品が出てきています。第一章「落下る(おちる)」や第二章「操縦る(あやつる)」に特に顕著です(どうでもいいことですがこのシリーズでは、短編集でも、第一話、第二話ではなく、第一章、第二章になっています)。
こうなってくると、今までのような感想ではなく、素直に面白かったなぁ、と思えます。今後のシリーズを読むのがとても楽しみになりました。
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まっきー☆

まあ、同じ時期に読んでいただなんて、びっくり! ワタシも先日読み終わりました。 確かに、前作の「容疑者X」から湯川は変わりましたよね。 タイトル通り、苦悩する姿に人間味を感じました。

実は、ワタシはこのドラマを全然見たことがなく・・・福山氏のイメージでガリレオを読んでいません。 先入観なくして読むのも、楽しいものですよ。
by まっきー☆ (2012-07-12 19:58) 

31

まっきー☆ さんいつもありがとうございます。

ガリレオは作者のもともとのイメージが佐野史朗さんというのですから、福山雅治とはずいぶん距離がありますね。

同じ科学者といっても森博嗣の登場人物とはずいぶん違うところもおもしろいですね。
by 31 (2012-07-14 10:30) 

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