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リンカーン弁護士 [海外の作家 マイクル・コナリー]

リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)
  • 作者: マイクル・コナリー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/06/12
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
高級車の後部座席を事務所代わりにロサンジェルスを駆け巡り、細かく報酬を稼ぐ刑事弁護士ミッキー・ハラー。収入は苦しく誇れる地位もない。そんな彼に暴行容疑で逮捕された資産家の息子から弁護依頼が舞い込んだ。久々の儲け話に意気込むハラーだが……警察小説の名手が挑む迫真のリーガル・サスペンス。 <上巻>
多額の報酬が約束された事件を調べるハラーは、かつて弁護を手がけたある裁判へと辿りつく。もしかしたら自分は無実の人間を重罰に追いやってしまったのではないか。思い悩む彼の周囲に、さらに恐るべき魔手が迫る。絶体絶命の状況下で法廷に挑む彼に勝算はあるか? コナリーワールドの新境地を拓く意欲作。 <下巻>

「このミステリーがすごい! 2010年版」第10位、週刊文春ミステリーベスト10第9位の作品です。
「ナイトホークス」〈上〉 〈下〉 (扶桑社ミステリー)ではじまるボッシュ・シリーズで有名な作者がはじめた新シリーズです。
なんとリーガル・サスペンス。
マイクル・コナリーがリーガル・サスペンス!? と思いましたが、さすがはマイクル・コナリー、とってもおもしろい一級品に仕上がっています。
なによりも、必要なところに必要な登場人物がぴたりと配置されていて、それでいてそのそれぞれの登場人物が作者の操り人形のような駒としてプロットの必要性のためだけにいるのではなく、ちゃんと普通に(自然に?)行動しているようになっているところが素晴らしい。
下巻で展開される主人公の法廷戦術も、あまたの登場人物像に合致するものです。かなりの綱渡りですが、納得させられました。
そもそも主人公のハラーが、「いい人」という造型ではなく、欠点もあるかたち-というか欠点だらけ?-になっているのが好感度大。金のために割り切って、というスタートがいい効果をあげていると思いました。この主人公がどう変わっていくか、あるいは変わっていかないのか、に注目して読むのも楽しいかも。
ミステリー的には、不穏な依頼人、というのが大きなポイントなのですが、真相を追うハラーにどーんと迫ってきて、いったいどうやってこの窮地(?)から抜け出すのか、ハラハラできます。ミステリー的な要素とサスペンスがうまく不可分に絡まっていて、さすがコナリーだなぁ、と。
振り返ってみると、展開や真相が、典型的なハードボイルドのスタイルに沿っているように思えました。かっこいい。
映画化もされていますので、映画もたのしみかも。

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