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カンパニュラの銀翼 [日本の作家 な行]


カンパニュラの銀翼

カンパニュラの銀翼

  • 作者: 中里 友香
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/10/24
  • メディア: 単行本


<表紙袖あらすじ>
1920年代後半の英国――エリオットには秘密があった。
資産家の子息の替え玉として名門大学で学び、目が見えなくなった「血のつながらない妹」のため、実の兄のふりをして通いつめる日々。
そんなエリオットの元に、シグモンド・ヴェルティゴという見目麗しき一人の男が現れる。

《抜け出したくばね、必要なのは概念の改革だよ。
エリオット・フォッセー》

物憂い眩暈。
エレガントな悪徳。
高貴な血に潜んでいる病んだ「真実」――
精緻な知に彩られた、めくるめく浪漫物語。


単行本です。第2回アガサ・クリスティー賞受賞作。
「読者を選ぶ」という表現がありますが、この作品はまさに「読者を選ぶ」作品で、残念ながら僕は選んでもらえませんでした。
上の Amazon からの表紙の絵がわかりますでしょうか? 
帯に「欧州浪漫ミステリ」と書いてありますが、表紙の絵は、作品の雰囲気をよく伝えていると思います。
この絵を受け付けない人は、中身も受け付けないかも(笑)、僕は表紙もだめでした。
「ゴシック・ロマン」という評もあるようですが、違うような気がします (ゴシック・ロマンはやっぱりお屋敷ですよね!)。
中世ヨーロッパの雰囲気漂う貴族社会を舞台にしていますが、豪華絢爛とか流麗とかいうのとは違う手触りで、もっととげとげ、ザラザラしています。
ペダンティックな作品というのはミステリにはよくある趣向ですけど、うーん、正直つらかったですね。不老長寿など幻想小説のテイストがあるから、というわけではないと思います。そう、全体の雰囲気が、僕を選んでくれなかった、ということでしょう。
それだけ、作者の築いた世界は強固ということなので、素晴らしいことなのだろうと思いますが、馴染めなかった...

昨年の第1回の作品、森晶麿「黒猫の遊歩あるいは美学講義」 (ブログへのリンクはこちら) にも馴染めなかったし、このままクリスティー賞が鬼門になるといやだなぁ。
クリスティの作品は、もっと平易で誰にでも親しみやすい手触りでありながら、とびっきりの驚きを与えてくれる、そんな作品であるだけに、その名を冠したミステリの賞には、期待するところ大なのですが。

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