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天才までの距離 [日本の作家 門井慶喜]


天才までの距離―美術探偵・神永美有 (文春文庫)

天才までの距離―美術探偵・神永美有 (文春文庫)

  • 作者: 門井 慶喜
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/08/03
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
岡倉先生は、いはゆる筆を持たない芸術家でありました――。近代日本美術の父・岡倉天心の直筆画が発見されたという。天心の実作はきわめて稀だが、美術探偵・神永美有は破格の値をつける。墨絵は果たして本物か? お馴染み神永美有と佐々木昭友のコンビが東西の逸品と対峙する人気シリーズ、待望の第二弾。


「天才たちの値段」 (文春文庫) (このブログの感想ページへのリンクはこちら) に続く美術探偵・神永美有シリーズ第2弾。
「天才までの距離」
「文庫本今昔」
「マリーさんの時計」
「どちらが属国」
「レンブラント光線」
の5話収録。
「天才たちの値段」 を受けて、佐々木が京都へ行ってしまったので、神永と物理的に距離が置かれた、というのが第一話「天才までの距離」のタイトルになっているわけですが、自分の直感を検討する前に神永ならどう見るかを考えるようになってしまっては研究者として最悪で、神永への依存を断ち切るために京都へ、という佐々木の心意気は立派ですが、さてさて、その首尾は? そんな興味も持てる作品です。
というわけで、その神永が金の亡者になってしまっているという表題作はじめ、どうやって佐々木と神永両者を登場させるか、というのことも各話の鑑賞のポイントなのか、と思いましたが、第二話以降はあっさりと共演しています。
一方で、真贋を見抜いてしまう神永の舌の判定結果が距離のおかげで佐々木にはわかりにくくなっていますので、物語のバリエーションが増えた感じがします。
解説で福井健太さんが要領よく題材をまとめていまして引用しちゃいます。
『表題作において岡倉天心の救世観音図(らしきもの)を神永とあらそうことになる。第二話「文庫本今昔」は切り絵の作者探しにまつわる逸話。第三話「マリーさんの時計」は奇妙な柱時計の由来を探るエピソードだ。第四話「どちらが属国」は山水画の真贋と日中関係を絡めた意欲篇。第五話「レンブラント光線」はレンブラントの模写が生まれた経緯を繙く佐々木自身の事件である』
美術そのものはまったくの素人なので、細かい部分はへえぇと言うしかないわけですが、それぞれの謎解きにあたる部分の「きっかけ」がさまざまで、こんな切り口で見ていくんだと感心できます。
第3弾も待っています!!



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