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露壜村事件 生き神少女とザンサツの夜 [日本の作家 椙本孝思]


露壜村事件    生き神少女とザンサツの夜 (角川文庫)

露壜村事件 生き神少女とザンサツの夜 (角川文庫)

  • 作者: 椙本 孝思
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2013/01/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
「この地で面白いものを発見した。黒彦君と一緒にすぐ来なさい」――犬神果菜のもとに、兄・清秀から謎の一文が添えられた年賀状が届いた。“高校生探偵”白鷹黒彦は、果菜を連れ、文面に書かれていた奇妙な名前の村に向かうことに。露壜村。現世から隔絶された山村で、ふたりが最初に目にしたのは、異常に長い不気味な葬列と、まとわりつくような老婆の視線。それは、怨念に満ちた惨劇の幕開けだった!? シリーズ最大の事件簿!


「魔神館事件 夏と少女とサツリク風景」 (角川文庫)
「天空高事件 放課後探偵とサツジン連鎖」 (角川文庫)
に続くシリーズ第3弾で、この
「露壜村事件 生き神少女とザンサツの夜」
でシリーズ制覇だ! と意気込んでいたら、昨年10月に
「幻双城事件 仮面の王子と移動密室」 (角川文庫)が出ちゃってますね。あらら。

第1作「魔神館事件 夏と少女とサツリク風景」 の感想で、
「よくこんなの作品にしたなぁ。 読後怒り出す人がいてもおかしくないと思いますが、個人的には許せてしまう。」と書きましたが(リンクはこちら)、この「露壜村事件 生き神少女とザンサツの夜」 もそういう路線です。
いやあ、実に、実に、馬鹿馬鹿しい(半分褒め言葉、半分馬鹿にしている言葉です...)。

因習の山村で繰り広げられる惨劇(連続殺人)といえば、言わずと知れた横溝正史の世界なわけですが、帯に、「“村ミステリ”への挑戦」とあって、ちょっと笑ってしまいました。
そういうジャンル名、あったんだ...初耳かも。

ともあれ、露壜村(ろびんそん)なんていう名前からして、おいおい、と思わせてくれるわけですが、繰り広げられる事件と真相は、とびぬけて間抜けです。
もともと、椙本孝思というのは、ミステリを小馬鹿にしている作家だと理解しているので、まともなミステリを期待することが間違いと読者はわきまえておく必要があるのでしょう。
こんなふざけた仕掛けを、真面目なふりして堂々と書ききっているのは、ある意味立派でして、感心しました。
この仕掛け、書きようによっては名作・傑作にもなり得るかもしれないような気もしないではないですが(たとえば、連城三紀彦とか、あるいは京極夏彦とか、はてまた島田荘司とかが書くとどうなるでしょうね?)、見事なまでに工夫なくストレートに押し出してきているのが惜しい。潔いといえば潔いんですが。
また、横溝正史の世界を意識していると思うのですが、そのことがミスディレクション的な役割をはたしている部分もある(ちょっと褒めすぎ!?)かと思うと、横溝正史そのまんまで投げ出されている部分もあったりして、なんだか楽しく、憎めませんでした。

それにしても注目はやはり果菜の正体がなかなかばれないことでしょうか。絶対に気づかれますよねぇ。
そして、物語のラストで、意外な(?)役割を担う登場人物もあらわれてびっくり。
「幻双城事件 仮面の王子と移動密室」で、黒彦たちのこの先を確かめないといけないかもしれません。



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