SSブログ

ピエロがお前を嘲笑う [映画]

ピエロがお前を嘲笑う T0020254p.jpg


映画のHP(リンクはこちら)からあらすじを引用します。

ドイツで大ヒットを飛ばし、ハリウッドがリメイクに飛びついた、驚愕の〈マインドファック〉スリラー!
警察に出頭した天才ハッカー・ベンヤミン(トム・シリング)。世間を騒がせ殺人事件にまで関与を疑われ国際指名手配をされた。そのベンヤミンが自ら語りだした――
学校では苛められ冴えないベンヤミン。ピザ屋のバイトでも馬鹿にされ、想いを寄せているマリ(ハンナー・ヘルツシュプルンク)にもまともにアプローチもできない。そのマリのために試験問題をハッキングして手にいれようとしたベンヤミンだったが捕まってしまう。前歴がなかったため社会奉仕活動を命じられ、そこで野心家のマックス(エリアス・ムバレク)と知り合う。2人にはハッキングという共通の趣味が合った。マックスはベンヤミンの天才的な才能を見抜き、マックスの友人たちを交えて、破壊活動を行うハッカー集団“CLAY(クレイ)”を結成する。国内の管理システムを手当たり次第ハッキングを仕掛け、世間を混乱させ注目を集める。そしてクレイはライバルハッカー集団を挑発し、ついにはその正体を暴いてみせる。さらにドイツ連邦情報局へもハッキングを仕掛け、有頂天になっていたベンヤミンたちだったが、ベンヤミンの仕掛けた不用意なハッキングがきっかけで殺人事件が発生してしまう。ついにユーロポール(欧州刑事警察機構)の捜査が入り、ベンヤミンたち自身が危険にさらされることになり、自ら出頭することにしたのだった。
しかしベンヤミンの自供はつじつまが合わない。翻弄される捜査官たち。果たしてどこまでが真実なのか。彼の真の目的とは――。


映画のHP)には、
「まさかの結末に《100%見破れない!》《騙された!》という観客が続出ドイツで大ヒット、ハリウッドがリメイクも決定!驚愕の<マインドファック>スリラー、日本上陸」
という惹句が書かれています。

騙されると煽られていますが、こういう煽り文句はかなり要注意で、派手な煽り文句であるばあるほどがっかり率が高まるような気がします。
100%見破れない、というのはかなりレベルの高い煽り文句で、ミステリファンだとかなり気になります。

で、どうだったかというと、100%見破れない、ということはないと思いました。さすがに言い過ぎ。
でも、いろいろと考えて作ってあって、楽しみました。満足です。

マイナス面から指摘しておくと、ほかならぬ犯人の計画がまずい。
最後までいって考えると、「騙される」という煽り文句の肝というべき最後のどんでん返しで明かされるプロットには、かなり無理があります。
これはあり得ないなぁ。ちょっとがっかり。
捜査官サイドの動きや思考回路まできっちり支配できないと不可能で、そこに立脚した計画というのは、なし、ですね。
これを観客に納得させるには、すくなくとも、捜査官側のストーリーをもっともっときっちり描きこんでおく必要がありますし、かなり大量のエピソードで捜査官のキャラクターを「この捜査官なら、まず間違いなくこういう行動を取るよね」と思わせるくらいに浮き彫りにしておく必要があるでしょう。(これをやっても、納得するとは限りませんが)
あるいは、捜査官が思い通りに動かなくても、バックアップのシナリオがきちんと用意されていた、とわかるようにしておいてくれる必要があります。
さらにこの計画、警察サイドにはワークしても、ネット裏社会でもワークしていますでしょうか? 少々不安が残ります。

一方で、このどんでん返しの前に提示されるストーリーは、正直つまらないので、ひっくり返してくれたことはGOOD。
最近のミステリでは、常套手段というか手垢に塗れて面白くもなんともない、個人的には嫌いなアイデアなんですね。でも、嫌いだから批判的に見たおかげで、すぐにおかしいなと気づけました。だからどんでん返しを想定できました。
最後のどんでん返しのおかげで、この嫌いなアイデアが葬り去られたわけで、ありがたい(笑)。

現実世界とネットの世界を区分けするのに、マスクを使うのはいいアイデアだなぁと思いました。
これ、楽しかったですよ。(不気味な中身ですけれど)
根暗な主人公の成長物語という捉え方もできて(歪んだ成長ではありますが)、欠点も挙げましたが、個人的には好きな映画です。
もちろん、「100%見破れない」という映画ですから、こちらの見落としや理解不足で、もっともっと素敵な裏側が仕掛けられていたら、さらにうれしいのですが。

ハリウッドがリメイクするらしいですが、ハリウッドのリメイクって大抵オリジナルよりも、数段つまらなくなるので、心配です。怖いもの見たさ(?)で観てしまう気がしますが...



原題:WHO AM I - NO SYSTEM IS SAFE
製作年:2014年
製作国:ドイツ


nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0