奇跡の男 [日本の作家 あ行]
<裏表紙あらすじ>
バスの転落事故で一人だけ生き残った男が、今度は袋くじの特賞に大当たり。そんな強運、あり!? (奇跡の男) 小さな飲み屋「糀屋」の客が死に、なぜか警察に被害者の香典が送られてきて……(狐の香典)。“卯の花健康法”や“健脳法”など、珍妙なことばかり思いつくナチ先生が殺された。雪に残された足跡が唯一の手掛かり? (ナチ式健脳法)など、ユーモラスで奇想天外な極上ミステリ短篇集。
泡坂妻夫の短編集というので再編集ものかな、と思ったら、再文庫化なんですね。
本の最後のところに「本書は1991年2月光文社文庫として刊行されました」とあります。
ということは、きっと読んでいるはず、なんですが、中身覚えていませんし、イギリスに持参する本として購入しました。
帯には(こんなに大きいともはや帯といい難いですが...)
「生者と死者 も しあわせの書 も
乱れからくり も 湖底のまつり も
煙の殺意 も 妖盗S79号 も
夢裡庵シリーズ も 亜愛一郎シリーズ も
読んでしまった皆様!
奇跡の男 は読みました?」
と書いてあって、「読んだはずだけどなぁ」と自分に言いながら読みました。
読み終わっても、旧版で読んだかどうかまったく思い出せない始末で、困ったものです。でも、泡坂妻夫の文庫本だったら絶対即買っているはずなので、読んでいるはずであることは間違いないのですが。
さて、読み終わった感想は、さすがに帯に列挙してある綺羅星のような傑作群と比べるのはあれですが、たっぷり泡坂妻夫の世界は楽しめました。
ロンドンに持ってきてよかった!
「奇跡の男」
「狐の香典」
「密会の岩」
「ナチ式健脳法」
「妖異蛸男」
の5編収録です。
「奇跡の男」は、途中亜愛一郎シリーズの1編を思い出してにやにや。こんなこと考えるやつはいないよなと思えるのに、妙に納得がいくような気もしてくるという不思議な感じですね。
「狐の香典」も香典を送る動機が秀逸です。まさかね。
「密会の岩」はのぞき男(と言っては可哀そうでしょうか)が目撃者となるストーリーですが、なるほどねー。こういうことはわりと普通に会話に上ってくるようなネタですが、ミステリーに組み込むとは見事です。
「ナチ式健脳法」は、どっちから思いついたんでしょうね。トリックからか、健脳法か。これもばかばかしいんですけど、泡坂妻夫にかかるとさらっと作品に仕立て上げられてしまいます。
最後の「妖異蛸男」は、密室殺人事件が取り上げられています。蛸男って印象深いフレーズですが、なかなかイメージ喚起力のあるトリックに仕上がっていますね。
<蛇足>
「妖異蛸男」に「標本としてモントレーの博物館にある」(225ページ)とあります。
うわー、モントレー、懐かしい。行ったことあります!
博物館と書いてありますが、普通は「モントレー ベイ水族館」Monterey Bay Aquarium と訳しているところのことですよね、きっと。
モントレーは湾になっていて、この水族館と17マイルドライブというドライブロードが有名ですね。
ゴルフ好きな方は、ペブルビーチの近く、といえば場所の見当がつくかもしれませんね。
タグ:泡坂妻夫
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