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ROMES 06 まどろみの月桃 [日本の作家 か行]

ROMES 06 まどろみの月桃 (徳間文庫)

ROMES 06 まどろみの月桃 (徳間文庫)

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2011/07/15
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
最先端の施設警備システム・ROMESを擁する西日本国際空港で、密輪の摘発が続いた。税関から協力要請を受けた空港警備チームは、ROMESを駆使して次々と運び屋たちを発見していく。だが、うまく行きすぎる。疑問を抱いたシステム運用の天才・成嶋優弥はひそかに調査を開始する。大模規密輪を隠れ蓑にして進んでいた恐るべきテロ計画。成嶋は首謀者の男の執念に対抗できるか?


「ROMES 06」 (徳間文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら
「ROMES 06 誘惑の女神」 (徳間文庫)
に続くシリーズ第3作です。
前作「ROMES 06 誘惑の女神」 (徳間文庫)の感想を書きそびれています。

久しぶりに読んだシリーズですが、やっぱり面白いですね!

不満がないわけではなくて、それは、ROMESの使われ方が地味であること...
ROMESって、すごい機能を搭載してあるはずなんですが、今回の使いかたは密輸の運び屋捜し、とか、空港にやってくる人物のサーチ。すなわち、顔認証とかのレベルなんですよね。
いや、空港にやってくる人物全体をサーチするだけでも相当すごいことなんだろうな、とは思うんですが、このレベルだとROMESにお出ましいただかなくても...なんて思ってしまいます。

また砂村が友人堤の依頼で、成嶋の許可を取ったうえでROMESの機能を流用するのですが、これもどうかなぁ...
「もしかしたらターゲットの男が犯罪者である可能性があるわけだし、砂村の友だちの頼みとあらば、無視もできないだろう?」(125ページ)
って、この程度でROMESの機能をほかの用途に、しかも、関係者でもない人のために使う、というのはコンプライアンスの観点から問題ありではなかろうかと...

もっとも、こうやって使った結果得られる情報や、ターゲットの男自体が、全体のプロットと有機的に絡みついていくのは当然のことでして、ROMESを使わせてやって、よかったよかった、という展開にはなるのですが、それでもねぇ...プライバシーの保護とか、どうなんでしょうね?

それは置いておくとすると、快調、快調。
ROMES擁する成嶋たち西空と、テロリスト、という知恵比べをたっぷり楽しめます。
西空側の捜査(?) がするすると順調にいくのはやや難あり、なのですが、成嶋が、あの成嶋が自ら動き回ったり、あるいはテロリストサイドの機微に触れたり、意外な展開を堪能しました。
テロリストの仕掛ける二重三重どころか、三重四重、四重五重にもなった複層的なたくらみがいいですよね。放射性廃棄物のエピソードとか、もう、大好物です。

試合に勝って勝負に負けた、というか、勝負に勝って試合に負けたというか、テロリストサイドの視点が効果的だったな、と思いました。

元麻薬取締犬のハルも活躍しましたし(あれ? 違いましたか?)、シリーズがどんどん楽しくなってきています。
シリーズ、このあと出ていないようなんですよね。
とてもおもしろいシリーズなので、ぜひぜひ、続巻をお願いします!


<蛇足>
冒頭に「空港は世界で最も重要な公共交通施設の一つであり」(10ページ)とあります。
もっとも〇〇なものの一つ、という言いかた、one of the most ~という英語の翻訳から生まれた表現だと思うのですが、気になる表現です。本来の日本語では、もっとも、というのは一番という意味ですから、一番のうちの一つ、というのは変なんですよね。(その意味で、英語の最上級を「最上」級と呼ぶのは間違いだと思います。もっとも、という意味ではないのだ、と。)
この文章、日本語としては、最の字をとっても意味がちゃんと通ります。
空港は世界でも重要な公共交通施設の一つであり~
これでよいのではないでしょうか?







タグ: 五條瑛 ROMES
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