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パンドラ・アイランド [日本の作家 あ行]

パンドラ・アイランド〈上〉 (徳間文庫)パンドラ・アイランド 下 (徳間文庫)パンドラ・アイランド〈下〉 (徳間文庫)
  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2007/10/01
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
平穏な暮らしを求め、東京から七百キロ離れた孤島・青國島に来た元刑事・高州。“保安官”――司法機関のない島の治安維持が仕事だ。着任初日、老人が転落死した。「島の財産を狙っておるのか」死の前日、彼の遺した言葉が高州の耳に蘇り……。(柴田錬三郎賞受賞作)<上巻>
転落死、放火、そして射殺事件。高州の赴任以来、青國島の平穏な暮らしは一変した。島の“秘密”に近づく高州の行く手を排他的な島の人間が阻む。村長の井海、アメリカ人医師オットー、高州に近づく娼婦チナミ……真実を知っているのは? (柴田錬三郎賞受賞作)<下巻>


大沢在昌の作品の感想をこのブログで書くのは初めてです。
読むのもずいぶん久しぶりで、手元の記録を見てみると、2006年に「心では重すぎる」 (上) (下) (文春文庫)以来で、13年ぶり(!)のようです。
大沢在昌といえば、「新宿鮫」 (光文社文庫)が爆発的に売れて一大人気作家となったわけですが、むしろそうやって売れるようになる前は割と熱心に読んでいたのに、売れだしてからは少し縁遠くなりました(13年ぶりに読んでいるようでは、少し縁遠いどころの騒ぎではないですね)。

徳間文庫版で読みましたが、Kindleだと合本版があるんですね。
パンドラ・アイランド【上下合本版】 (徳間文庫)

パンドラ・アイランド【上下合本版】 (徳間文庫)

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2018/05/16
  • メディア: Kindle版

ちなみに、集英社文庫からも出ているようです。
パンドラ・アイランド 上 (集英社文庫)パンドラ・アイランド 下 (集英社文庫)パンドラ・アイランド 下 (集英社文庫)
  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/04/20
  • メディア: 文庫

集英社文庫の方が徳間文庫よりも後から出ているので、書店で手に入りやすいのは集英社文庫版かもしれません。

舞台は孤島(離島)ですが、本格ものではありません、なにせ大沢在昌ですから。
(と言いながら、大沢在昌はフィールド的にはハードボイルドを中心とする作家ですが、個人的には、本格ものを書いても絶対に面白い作品が書ける作家だと思っています。ご本人にその気がないだけで......一度くらい書いてみてくれてもいいのにな、なんて思います)
この孤島の設定がちょっと現実離れしているような、それでいてありそうな、というあたりがポイントですね。島に公営の(?) 売春施設があるところもすごい。
またそのおかげで、主人公が日本なのに保安官、という設定となっているのがおもしろいですよね。
警察ではない。でも民間人でもない。ハードボイルドに向いた職業かもしれません。
そして、どうも島が秘密を隠しているらしいので、主人公の立ち位置が難しくなってくるところも手堅い印象です。

その、島が隠している秘密にもうひとひねりほしかったかな、とも思いましたが、この程度に収めておくほうがバランスがよいのかもしれません。
ラストのいかにもハードボイルドなエンディングを趣がある、と思って読んだのですが、人によっては平凡だとかありきたりだとかおっしゃるかもしれません。
でも、離島でもハードボイルド、因習の村での事件が本格ミステリの定番であるところ、そういう雰囲気の舞台でハードボイルドを展開する、というのがポイントの作品だと思うんですよね。だから、真相や結末はこうでなければいけないのではなかろうか、とそんなことを考えています。

久しぶりに読みましたが、大沢在昌、おもしろかったですね。
また読みだしてみようかな...... ああ、こうやって読まなきゃいけない本が増えていく......

<蛇足>
「おおむね年中無休で、正午から深夜、早朝まで開けているが、突然に休業したり、数時間だけ閉店することもあり、返却専用のポストが設けられている、」(410ページ)
大沢在昌らしくなく、「たり」が単独利用されています......





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