SSブログ

ジョン・ディクスン・カーを読んだ男 [海外の作家 は行]


ジョン・ディクスン・カーを読んだ男 (論創海外ミステリ)

ジョン・ディクスン・カーを読んだ男 (論創海外ミステリ)

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2007/09/01
  • メディア: 単行本

<カバー袖あらすじ>
巨匠J・D・カーに憧れ、自ら密室殺人を企てる青年。
クイーン顔負けの論理で謎を解く老人。
身に覚えのない手紙を受け取ったアメリカ在住のワトスン。
ユーモラスな結末の表題作をはじめ、「エラリー・クイーンを読んだ男」、「コナン・ドイルを読んだ男」等、ミステリへの深い愛情とあざやかな謎解き、溢れるユーモアで贈る〈~を読んだ~〉シリーズ全十一編。
付録として,チャールズ・ディケンズの愛読者が探偵として事件に挑む「うそつき」等三編を収録。EQMMの常連作家ブリテンによる、珠玉のパロディ群をご堪能あれ。


2022年7月に読んだ6冊目の本です。
論創海外ミステリ68

「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」
「エラリー・クイーンを読んだ男」
「レックス・スタウトを読んだ女」
「アガサ・クリスティを読んだ少年」
「コナン・ドイルを読んだ男」
「G・K・チェスタトンを読んだ男」
「ダシール・ハメットを読んだ男」
「ジョルジュ・シムノンを読んだ男」
「ジョン・クリーシーを読んだ少女」
「アイザック・アシモフを読んだ男たち」
「読まなかった男」
「ザレツキーの鎖」
「うそつき」
「プラット街イレギュラーズ」
14編収録で、本国でも短篇集にまとめられたことのない〈~を読んだ~〉シリーズをまとめた貴重な短編集です。

表題作ともなっている「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」は非常に有名な作品で、数々のアンソロジーにも採られています。
ぼく自身おかげで何度も読んだことがあります。
カーを読みとり憑かれてしまい、完璧な密室トリックを使って叔父を亡き者にしようとした男の顛末を描く物語ですが、非常に面白いですね。
ネタが分っていても、やはりニヤニヤしてしまいます。良質のユーモア作品が持つ特徴をそなえているということでしょう。
ただミステリかと問われると言葉に詰まってしまうのですが、とびきり面白い作品であることは間違いありません。

なので、他の〈~を読んだ~〉シリーズの作品も同傾向のものなのかな、と思って読んだのですが、予想は嬉しく裏切られました。
その他の作品は、普通に(というのも変な表現ですが)ミステリしているのです。
短い作品ばかりなので、あっさりしているのですが、ポイントを絞って展開する小味ながらピリッといった趣で、そうですね、小粋とでもいうのでしょうか。

「アガサ・クリスティを読んだ少年」に出てくる切手は見てみたいと思います。

巻末に、好事家のためのノートと題して、言及されているミステリ作家たちについての、森英俊による解説があるのも親切です。
ジョルジュ・シムノンやジョン・クリーシーは今や入手困難ですし、こういう解説はありがたいですね。


<蛇足>
「彼は勝手口を開けると、キッチンに入っていった。ぬくもりが感じられ、鶏肉の唐揚げの匂いがする。」(134ページ)
ニューヨークの警察官の家なのですが、中国系でもなさそうなのに、唐揚げを作っているのですね。





原題:The Man who Read John Dickson Carr and other stories
作者:William Britain
刊行:1965年
訳者:森英俊




nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 13

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。