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河原町ルヴォワール [日本の作家 円居挽]

河原町ルヴォワール (講談社文庫)

河原町ルヴォワール (講談社文庫)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/09/15
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
賀茂川と高野川が合流する鴨川デルタ。瓶賀流(みかがみつる)が目撃したのは濁流に呑み込まれる友人、龍樹落花(たつきらっか)の姿だった。その夜、下流で発見された紛れもない落花の遺体。撫子は姉の死を信じることができずにいたが、犯人として名前が挙がったのは音信不通の兄、大和だった。京都の歴史を覆す私的裁判・双龍会(そうりゅうえ)が始まる。


「丸太町ルヴォワール」 (講談社文庫)(感想のページへのリンクはこちら
「烏丸ルヴォワール」 (講談社文庫)(感想のページへのリンクはこちら
「今出川ルヴォワール」 (講談社文庫)(感想のページへのリンクはこちら
に続くシリーズ第4弾にして、最終作。
2017年1月に前作「今出川ルヴォワール」 感想)に、「今年中に読みたい」と書いていたものの、結局2018年も暮れになってしまいました。

あらすじにもありますが、冒頭いきなり龍樹落花が死んじゃうんですよね。しかも大和と対決して。
シリーズ読者にはかなり衝撃的なオープニング。
落花の跡を継いだ撫子が渋る中、ようよう始まった双龍会。お膳立てはばっちり。
この双龍会の丁々発止といってもよいやりとりがこのシリーズの醍醐味ですね。おもしろい。
敵と味方が入り乱れ、逆転につぐ逆転。
龍樹家、青蓮院、城坂家、そして、黄昏卿。これまでシリーズを通して培われてきた京都の歴史の奥が暴かれ、ひっくり返される。
いやあ、おもしろかった。

おもしろかったんですが、なんでもありの双龍会とはいえ、ちょっと今回のはアンフェアに思えてなりません。
非常に気を使った書き方がされていることはわかるんですが、それでもなお、アンフェアだな、と感じてしまいました。
一方で「フェアがなんぼのもんじゃい」というような仕掛けに感じ入ったのも事実です。
ここまで仕組んでくれたら、まあ、アンフェアでもよしとしましょうか、とも思えるほど。

楽しいシリーズでした。


<蛇足1>
「ある病院の催事場でちょっとしたパーティがありまして」(64ページ)
私立病院なので、好きなように設計すればよいわけですが、催事場のある病院って...!?

<蛇足2>
「ただ、ばんたび断るのが面倒なのは確かだ」(97ページ)
文脈から意味は分かるんですが、「ばんたび」ってなんだ??
ネットでもあまり出てきませんね。
Weblio辞書によると
=番度=毎度、毎回 ・「ばんたび 許すと思ったら大間違いだ」
ということだそうです。甲州弁、あがつま語ということなので、方言、でしょうか。

<蛇足3>
「もしかして天邪鬼に天邪鬼呼ばわりされるぼくはまともな人間なのでは?」
「異常の反対は別の異常だよ。お互いまともじゃないからこんなところに吹き溜まるんだ」(124ページ)
ああ、こういう切り返し、いいですね。


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