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My Engineer [タイ・ドラマ]

ものにはついで、というものがありますので、タイ・ドラマの感想もここで挟んでおきたいと思います。
タイのドラマ「My Engineer」の感想です。

「Our Skyy」(感想ページはこちら)を観て、ある意味一区切りでした。
これまで観たタイドラマは、基本的には GMM TV 系列とそこに出ていた役者さんからたどった作品だったので、ほかのTV局制作のものも観てみようかな、と思ってたどりついたのが「My Engineer」。放送が終わって間もなくのことでした。

いつもお世話になっているMyDramaListによると、2020年5月に放映され、放送局は Tencent Videoとなっていますね。映像で出てくる Tricreation というのは制作会社なのかな? LINE TV でもあったようです。
日本でも2020年11月に衛星劇場で放映されたようです。
全14話で、各回50分ほどです。
日本語字幕つきでYouTube で観たと思うのですが、YouTube には見当たりませんね......版権などの都合で消えてしまったのかもしれません。YouTube からは英語字幕版すら見当たりません。
YouTubeでは各回4つのファイルに分割されていました。

ZvOWYf.jpg

このポスターを観ると、すごく雰囲気のあるシリアスな恋物語を想像してしまいますが、全然違います。
ザ・コメディですね。



英語字幕しかないのですが、いわゆる予告編だと思います。
これ見ても、とっ散らかった印象しか受けないような気がしますが......
<2022.1.29 訂正>
予告編ではなく、MV を貼ってしまっていました。予告編に差し替えます。
間違って貼っていた MVは、末尾 ↓ に。



こちらは日本で放映されたときの予告編「<衛星劇場2020年11月>タイBLドラマ 『My Engineer~華麗なる工学部~』 日本初放送! 60秒予告」です。
こちらも雰囲気ある恋愛もの、というテイストで作ってありますが、うーん、そうなんでしょうか?
恋愛要素もあるけれど、基本は学園コメディなのではないかと思っているのですが。

上に貼ったポスターだと、メインの二人の影しかわかりませんので、別バージョンのポスターを。

E2pVzf.jpg

ずいぶんにぎやかですが、予告編にもある通り4組のカップルが描かれます。
中央に女性が据えられていますが、彼女は狂言回しです。なので紹介しません(笑)。

メインはその向かって左隣、バラの花を右手で持って座っている デュアン。医学部1年生。
演じているのは、Kritsanapong Soonthornchatchawet という俳優さんで、愛称は Poy。
そのお相手が、デュアンが持つバラを共に持っているボーン。工学部2年生。
演じているは、Patpasit Na Songkhla という人で、愛称は Cooper。
いじわるとかいたずらをするときの表情がいきいきしています。

本来出会うはずのない二人が出会う、ということなんですが、もう出会い方からしてふざけています。
大学のキャンパスの中だと思われますが、公園? のベンチで寝ていたデュアン。近くに大トカゲがいるのに気づいたボーンがデュアンを起こしてやろうとするが、寝ぼけているデュアンは勘違いしてボーンを殴ってしまう。償いをしたいというデュアンに、これから毎朝花を届けに来るように命じるボーン。

はい、訳が分かりませんね(笑)。これがコメディでなければ、なんだというのでしょう。
ボーンは設定としては、学部の代表ムーンにもなるようなプレイボーイで、かつ、いじわる。
対するデュアンは、おそらく勉強ばかりしてきた、律儀な世間知らず、かつ鈍感。
デュアンの世間知らずぶりが遺憾なく発揮されていき、からかっているうちに、ボーンはデュアンに夢中になり、もうこれだけで話の雰囲気や行く末がお分かりいただけるのではないかと思うくらい単純です。
でも、そこがかえって新鮮でしたね。
ただ、デュアンのレベルが誇張されていて甚だしすぎる感はあるので、おおらかな気持ちで観たほうがいいです。

ほかにもボーイズラブカップル盛沢山でして、どこからご紹介すればいいのやら。
まずは女性の後ろ二人からいきましょう。
左側の白衣の男性は、Thara(発音はターラという感じです)。医学部の5年生。デュアンの従兄弟です。
演じているのは Nutthapong Phibunthanakiet。愛称は MD。
さすが従兄弟というべきか。この人も相当変わった人です。ペットがトカゲ(笑)。
その相手役が、ブレザーにネクタイ姿の Frong(フロン)。
最初は、ボーンのライバルとして、デュアンに思いを寄せる位置でした。Frong という名前、なかなか出てこない設定になっていて面白かったですね。途中であっさり明かしてしまったのが残念。
演じているのは Nutchapol Cheevapanyaroj。愛称 Shane。
ターラの思いをフロンがどう受け止めるのか、行く末が案じられたカップルでしたね。

続いては左下の二人。
ボーンと揃いの上着を着ていますので、工学部とわかりますね。
左端に座っているのが Mek(メック)。
かなり無口な役なんですが、実は演じている俳優さん Peng Jia Bo(彭佳博)、英語名 Ryan という中国人のかたで、なんとタイ語があまり話せないらしいんです。セリフはアテレコだったそう。
タイ語がわからないので、口の動き等でそのことはまったくわかりませんでしたが、それにしても話せないのに演技するという荒業。きっと、だからセリフが少なめなんですよね。
対する相手が Boss(ボス)。演じているのは Naphat Chalermphonphakdee。愛称 Inntouch。
この二人、大学新入生の頃からペア扱いされていて(Shipper というやつですね)、ボスが妻、メックが夫の”妄想カップル”。
でも、メックはもとからボスのことが好き、という設定です。
いちばん決着がもつれるカップルでした。

最後は右端の二人。
工学部の上着を着ているのがキング。
演じているのは Talay Sanguandikul。愛称 Lay。
役どころとしては、犬嫌い、というか犬恐怖症。そして植物好き。住んでいるマンションの部屋は、植物だらけです。
対するのは、キングの上に位置している ラム。
演じているのは Nakhun Screaigh。愛称は Perth。この人、日本語も堪能ということで、Youtube で日本人向けにタイ語講座をアップしていたりします。
ラムは、友だち思いのなかなか熱い男でして、デューンを守るため対ボーンで立ち上がる、なんてエピソードもあります。また、家族に問題を抱えている。
ただ、非常に無口で、シリーズ通してほとんどしゃべりません。
だから、かなりの間、言葉によるコミュニケーションはキングからラムへの一方通行。
でもキングの気持ちはしっかりラムに届いているのがわかるようになっています。このあたりの呼吸はなかなかいいですね。
観ていただくとわかるのですが、キングのセリフ、いいのですよ。全登場人物の中で一番いいやつかもしれません。
コメディなので、この二人にも笑えるエピソード満載なのですが、なかでもキングの姉が最高です。
このお姉さん、BL信者でして、勝手に弟とラムの仲を想像して盛り上がる、だけではなくて、キングの友だちにも吹聴する、という困った人で、ぼくは大好きです(笑)。

実は個人的にはデュアン役の役者さんの顔にあまり馴染めなくて、ボーイズラブものとして楽しむというのには浸れなかったのですが(あくまで好みの問題ですね)、コメディとしてしっかり楽しむことができました。
このドラマ、かなり好評だったようで、シーズン2 が決まっています。
日本でも観れるようになれば、観ようと思います。


<2022.1.29 訂正>
予告編と間違って貼っていた MVです。



タグ:タイBL
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映画:マリグナント 狂暴な悪夢 [映画]

マリグナント.jpg


この前の「焦茶色のナイトガウン」 (光文社文庫)でようやく7月に読んだ本の感想が終わりました。
本の感想も全然かけていないのですが、映画の感想も(さらに言うとタイ・ドラマの感想も)かなりかけずにいます。
まずは、現在も上映が続いている作品の感想を書いておくことにします。
ということで、「マリグナント」

シネマトゥデイから引用します。

---- 見どころ ----
『アクアマン』などのジェームズ・ワンが製作と監督などを手掛けるホラー。殺人鬼による犯行現場を目撃するという悪夢に悩まされる主人公に、魔の手がのびる。『スカイスクレイパー』などのエリック・マクレオド、『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』などのジャドソン・スコットらが製作総指揮を担当。『アナベル 死霊館の人形』などのアナベル・ウォーリス、『アイ・ソー・ザ・ライト』などのマディー・ハッソン、ジョージ・ヤング、ミコール・ブリアナ・ホワイトらが出演する。

---- あらすじ ----
マディソンは、あるときから目の前で殺人を目撃するという悪夢を見るようになる。超人的な能力で次々と犠牲者を殺めていく漆黒の殺人鬼による夢の中の殺人事件が、ついに現実世界でも起きてしまう。人が殺されるたびに、殺人現場を疑似体験するようになったマディソンに魔の手が忍び寄る。


シネマトゥデイではホラーとなっていますが、映画のHPでは

「マリグナント 狂暴な悪夢」のジャンルを決めるのはあなた自身
これはホラーなのか、サスペンスなのか、アクションなのか、
限界に挑んでくる本作のジャンルを見極めろ。

と書かれています。
ホラーはあまり得意ではないので、それだけだと観ないのですが、この映画、Twitter でミステリ作家:阿津川辰海がおすすめしていたり、円居挽も観ていたり、と話題だったので、観ました。

面白かったですよ! というと性格を疑われてしまうかもしれませんが、面白かったです。
あまりホラー味は感じませんでした。
残虐なシーンもありますし、ちょっと現実離れしたところもあるので、ホラーということなのかもしれませんが、個人的にはミステリー味を強く感じました。

だってこれ、ミステリでよく扱われる題材なんですよ!
ちゃんと伏線も張られていますし。
(その意味では「絶対に予想できない」とか「驚愕の展開」というのは、ミステリファンからいうと言い過ぎですね。)

アクションというのは、たとえば、警察署を舞台にした戦闘シーンなどでしょうか。
敵がむちゃくちゃ早くて、強くて、すごいです。

まあ、ミステリだホラーだといったジャンル分けはあくまで便宜的なジャンル分けでしかないですから、いろんな要素が混然一体となった作品を楽しめばいいのですよね。
(個人的には、画面が暗めなのがつらいな、とは思いましたが)
確かに、人を選ぶ映画だなとは思いますが、おすすめです。



製作年:2021年
製作国:アメリカ





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焦茶色のナイトガウン:杉原爽香<47歳の冬> [日本の作家 赤川次郎]


焦茶色のナイトガウン 杉原爽香<47歳の冬> (光文社文庫)

焦茶色のナイトガウン 杉原爽香<47歳の冬> (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
ある日、爽香の元に高校の同級生・井田の娘から一本の電話が。なんと、妻殺しの容疑で井田が逮捕されたという。娘いわく、容疑を否認しているそうだが……。そして爽香は、仕事帰りに火事の現場に遭遇。のちに現場で殺人事件が発生していたと判明。被害者は国会議員の息子というが、怪しい事実が隠されているようで――!? 登場人物が読者と共に年齢を重ねる大人気シリーズ!


シリーズも第33弾です。
手違いから読めずにいた「灰色のパラダイス: 杉原爽香〈45歳の冬〉」(感想ページはこちら)を読むことができたので、これで普通のペースで読むことができます。

この「焦茶色のナイトガウン」 (光文社文庫)は、帯に
「瞳が危険な初恋--」
とありまして、あらすじには書いてありませんが、爽香の姪:瞳が活躍? します。

爽香は相変わらず次々と事件に巻き込まれていき(飛び込んでいき?)、快調にいつもながらの安定した仕上がりとなっているのですが、やはり興味の焦点は瞳ですよね。
ちょっと無理に作ったようなお話のようにも感じてしまいましたが、きちんと決着をつけるところはさすがです。
興味深いのは、瞳の状況というのは爽香が同じくらいの年ごろでも十分あり得たことでありながら、こうやって作品に取り上げられることは少なかっただろうな、と思えたことです。
33年も経てば、時代も少しずつ変わっていくということなのでしょう。
(変わったのは、時代ではなく、こちらの意識なのかもしれませんが)

気になったのはある登場人物の行く末。
シリーズを通して要所要所(?)で出てきていた人物で、非常に赤川次郎らしい設定の人物です。
ある意味、爽香の守護天使。
物騒な守護天使ですが、今回もここぞというところで登場します。
なんですが、今回は爽香たちを救うために無理をしてしまったので、ちょっと心配です。
本人にも(危険な橋を渡ったという)自覚はあるようなのですが。

次作「狐色のマフラー:杉原爽香 四十八歳の秋」 (光文社文庫)では、どうなっているでしょうか??

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風景を見る犬 [日本の作家 樋口有介]


風景を見る犬 (中公文庫)

風景を見る犬 (中公文庫)

  • 作者: 樋口 有介
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/09/21
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
那覇市大道の栄町にある売春宿の息子・香太郎は、高校最後の夏休みに近所のゲストハウスでバイトをする。悠々自適なマスター、個性的な美女たちに囲まれ、それなりに充実した毎日を過ごしていた。そんな中、栄町界隈で殺人事件が発生。当初、金の絡む単純な構図に思えた事件は、十八年前のある秘密が引き起こした悲劇だった――。


樋口有介のノン・シリーズものです。
この「風景を見る犬」単行本を買っていたのに積読で時が経過し、文庫本を買ってしまったという......なんとも。

舞台は沖縄、時は夏、そして主人公は高校生男子。
樋口有介お得意のパターンで、実にいい。
作品の魅力すべては語り手であるこの主人公にあり、と言いたくなるような青年ですが、彼のキャラクターはすぐに心地よく伝わってきます。
ぼくなんか生まれたときから周りは大人だらけで、死んだ祖母さんを筆頭に、みんな冗談のついでに生きているような人たちだった。「冗談で片付けなかったら、人生が辛いさあ」というのが祖母さんの口癖(344ページ)
と自ら語っていますが、こういう青年は同級生から見るとかなり浮くでしょうね。

美女に囲まれている日常、といううらやましいことこの上ない状況ではありますが、これはこの香太郎だからこそやっていけるので、ぼくだったら到底つとまりませんね。
余談ですが、香太郎のお袋、36歳という設定なんですが、しゃべり方のせいなのか、それとも職業柄なのか、もっと歳上のイメージで読んでいました。

ミステリ的側面の謎解きが頼りない、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この軽妙な語り口に乗せられて、また沖縄の醸す雰囲気に包まれてはいますが、きわめて正統派のハードボイルド的な謎解きになっていまして、少々詰めの甘いところはありますが、王道だと思います。
素晴らしい。

つまりは、樋口有介を読む楽しみが詰まっている作品というわけですが、先日、2021年10月23日にお亡くなりになったのですね。
再開した船宿たき川シリーズの決着もついてしないし、まだまだ樋口節を楽しませてもらいたかった。
残り少ない未読作品を、大切に読んでいきたいです。


<蛇足1>
この作品、沖縄が舞台で、さらっと豆知識(?) が盛り込まれています。
「沖縄の蝉は午前中の短い時間だけ狂ったように鳴いて、午後は休む。その理由は、たぶん、暑いから。」(28ページ)
本当ですか!?
「泡盛も水やコーヒーで割るのは一年ものの新酒、三年以上寝かした古酒はストレートで飲むのが通だという。」(178ページ)
なるほど、なるほど。語り手が高校生でもこういう知識が忍ばせてあります(笑)
「那覇の語源は魚場(なば)だからその種類も量も豊富なはずだし、沖縄人(ウチナンチュー)からも不満は聞かない。」(239ページ)
これも知りませんでした。

<蛇足2>
「しかし世の中には、冗談受容遺伝子欠損症みたいな人間が、たぶん、いる。」(344ページ)
うまいこと言いますね。
この言い回し、使ってみようかな。



タグ:樋口有介
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