バレンタインは雪あそび [海外の作家 レスリー・メイヤー]
<裏表紙あらすじ>
母親業に週刊新聞の臨時記者、加えて図書館の理事まで引き受けてしまったルーシー。初の理事会に張り切って図書館にいったはいいが、発見したのは司書の射殺死体。馴染みの警部補に容疑者扱いされたうえ、事件に関わらないよう釘を刺される。悔しさと記者根性があいまって、慌ただしいバレンタインを目前に、ルーシーは真犯人をさぐろうとするが…。好調、主婦探偵シリーズ第五弾。
「授業の開始に爆弾予告」 (創元推理文庫)に続くシリーズ物です。
ティンカーズコーヴというメイン州の田舎を舞台にしているシリーズですが、記者もやっているとはいえ主婦業が生活の中心の普通の母親が、図書館の理事をつとめるあたり、アメリカの田舎のコミュニティのありようがうかがえますね。バレンタインデーも日本とは趣が違います。
コージー・ミステリでは、事件と同時に主人公の生活ぶりも読書の楽しみのひとつだと思いますが、この作品ではいつもよりルーシーの家での生活の比重が高くなっているような印象を受けました。
もっともタイトルはのどかな感じですが、事件はのどか、とはいかず、雪あそびする子どもが狙われたりもして、家族を守ろうとルーシーの捜査にも熱が入ります。
ミステリとしての出来は取り立てていうほどのこともありませんが、雰囲気を楽しむ、肩の凝らない読み物として--まさにコージー・ミステリの本道として--仕上がっていると思いました。
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