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眠り姫とバンパイア [日本の作家 我孫子武丸]


眠り姫とバンパイア (ミステリーランド)

眠り姫とバンパイア (ミステリーランド)

  • 作者: 我孫子 武丸
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/03/17
  • メディア: 単行本


<外箱あらすじ>
母とふたり暮らしの小学5年生・相原優希は、居眠りばかりしてしまうので、子供の頃から「眠り姫」と呼ばれていた。居眠り癖もあり学校になじめない優希を心配した母はお姉さん代わりの家庭教師をつけていたが、大好きだった美沙先生はアメリカへ留学することに。その代わりの新しい家庭教師・荻野歩実に、優希は大切な秘密を打ち明ける。その秘密とは、父親が3年ぶりに会いに来てくれた、というものだった。母とふたりで暮らしている理由を知らなかった歩実は、前任の美沙に事情を聞いてみるのだが……。父は本当に戻ってきたのか? 家族に秘められた謎とは?

単行本です。
「かつで子どもだったあなたと少年少女のための-」という惹句の講談社ミステリーランドの第17回配本分です。ミステリーランドはすごく凝った造本になっていまして、本の背中の部分が布製で、1冊1冊ビニールのカバーが掛かっていて、さらにケース入りです。そのケースには丸く穴があいていて、本の表紙の一部がのぞいて見える構造です。かっこいいのですが、その分お値段が...
さて、内容です。
ストーリーは、優希と家庭教師歩実の二人の視点で交互につづられます。
子どもの世界と、お父さんとお母さんの大人の世界。歩実の視点はその両者をつなぐものという位置づけでもあると思います。
あらすじには書いてありませんが、優希はお父さんがバンパイアなのではないかと疑っていまして、それがタイトルにも反映されています。鍵のかかったところから脱出するお父さん、お母さんに見えていたはずの状況で見つからずにすませてしまったお父さん、と不可能興味もあって、バンパイアという疑いが一層強くなっていきます。
現実的なミステリーの解決としてバンパイアだったというのはあり得ないのですが、ファンタジーのようにバンパイアだったというラストなのかどうかは実際に読んで確かめていただくとして、正直いうと、個人的には好きなタイプの真相ではないのですが、大人の世界と子どもの世界のすれ違い具合、重なり合い具合がよくできていたなぁと思いました。
こういうパターンのストーリーだと、大人だと普通の事柄を、子どもの眼で見たからわからなかった、という建てつけになりがちだと思うのですが、この作品はそうなっていません。子どもはえてして間違いがちだという見方ではなく、きちんと子どもの視点、子どもの視線にもバランスがとられています。
優希さんには、このあと幸せな生活を送ってほしいです。


<2014.4追記>
2014年03月に文庫化されました。書影とリンクを貼っておきます。

眠り姫とバンパイア (講談社文庫)

眠り姫とバンパイア (講談社文庫)

  • 作者: 我孫子 武丸
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/03/14
  • メディア: 文庫




タグ:我孫子武丸
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