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毒蛇の園 [海外の作家 か行]

毒蛇の園 (文春文庫)

毒蛇の園 (文春文庫)

  • 作者: ジャック カーリイ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/08/04
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
惨殺された女性記者。酒場で殺された医師。刑務所で毒殺された受刑者。刑事カーソンの前に積み重なる死――それらをつなぐ壮大・緻密な犯罪計画とは? 緊迫のサイコ・サスペンスと精密な本格ミステリを融合させる現在もっとも注目すべきミステリ作家カーリイの最新傑作。ディーヴァー・ファンにお奨め!

解説で 法月綸太郎が「現在もっとも新作が待ち遠しい海外作家」と書いているジャック・カーリーの作品です。ちなみに、この法月綸太郎の解説、とても充実していてよいです。
「百番目の男」 (文春文庫)
「デス・コレクターズ」 (文春文庫)
ときてこの「毒蛇の園」が3作目なのですが、微妙に(?)作風が変わってきているように思います。
衣装はサイコ・サスペンスで、本格ミステリの手法も取り入れられていますが、サイコ・サスペンスや本格ミステリとして作品を構成したというよりも、一般的なサスペンス作品を作り上げている、ような気がします。サイコものというには犯人像が普通ですし、本格ものというには真相が平凡です。
ハイブリッドということでは、一風変わった刑事を探偵役とした一風変わった警察小説、とも言えなくもない。ネタバレにならないようにするときわめて曖昧な言い方になってしまいますが、「壮大・緻密な犯罪計画」にどうやって迫っていくか、ということを考えれば、警察小説の枠組みはぴったりですし。
そういったジャンル分けは、本書にはあまり意味がなく、それぞれの楽しみどころを読者は見つければよいわけで、なによりも堅牢なプロットに注目したいです。「壮大・緻密な犯罪計画」を中心に据えた大きな骨組みに、カーソン刑事の人間関係や警察内部のやりとりなど、大小さまざまなサブ・プロットが絡み合って、見事だと思います。
次作「ブラッド・ブラザー」 (文春文庫)にも大いに期待しています。

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