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蒼林堂古書店へようこそ [日本の作家 乾くるみ]

蒼林堂古書店へようこそ (徳間文庫)

蒼林堂古書店へようこそ (徳間文庫)

  • 作者: 乾 くるみ
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2010/05/07
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
書評家の林雅賀が店長の蒼林堂古書店は、ミステリファンのパラダイス。バツイチの大村龍雄、高校生の柴田五葉、小学校教師の茅原しのぶ――いつもの面々が日曜になるとこの店にやってきて、ささやかな謎解きを楽しんでいく。かたわらには珈琲と猫、至福の十四か月が過ぎたとき……。乾くるみがかつてなく優しい筆致で描くピュアハート・ミステリ。

文庫オリジナルの連作短編集です。
この古書店、すごい店ですよね。100円以上の売買をしたお客さんにはコーヒーがサービスされて、しかも何時間いてもいいというだけでもすごいのに、100円で買った本をその場で読んでしまい、10円で売って帰ることが可能。つまり、90円で本が読めて、そのうえコーヒーもついてくる、という仕組み。いや、夢のようなお店ではありますが、現役の作家がこういうお店を書いちゃあいかんのではないでしょうか? 自殺行為でしょ!? だって、作者に収入が入りませんよ!?
さておき、乾くるみが「日常の謎」!? と思ったりもしましたが、各話のあとにミステリ案内と称して見開きで古今東西のミステリが紹介があったり、最後まで行くと各話の底流に流れていた思いが浮かび上がってくるという趣向があったり、なるほどなー、でした。
それぞれの謎は、暗号に対する思い入れが伝わってくるものがあったりして随所に乾くるみらしいな、と思わせるものがあることはあるのですが、やはり謎が小さい。連載という制約で各短編の長さもその一因だったのでしょうが、ここまで小粒が集まると、わざと集めたのでは、すなわち、ミステリセンスに欠ける「日常の謎」ものに対する嫌味もはいっているのではなかろうかと、そんなことも考えたりしました。
本書の眼目は、ミステリの話題満載の各話に加えてミステリ案内がある、というところにあると思うので、ミステリ好きにこそおすすめしたいです。
それにしても、ミステリ案内は、楽しいんだけど、困りますね、読みたい本が増えてしまって。第5話で紹介されている吉村達也の<惨劇の村・五部作>なんて、五冊ですよ。あ~、どうしよう~。

目次にも仕掛けがあって楽しいです。
きれいに長さがそろっているので、なにか仕掛けられているんじゃないかなあ、と思っていたのですが、最終話でわかりました。
第14話で明かされる趣向が、奇数話、偶数話と分けると織り込まれているのがわかります。すごーい。楽しい。

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