相田家のグッドバイ [日本の作家 森博嗣]
<裏表紙側帯あらすじ>
普通の家庭だったけれど、ちょっと変わった両親。
母の第一の特徴は、ものを整理して収納することだった。それくらいのこと、綺麗好き整頓好きなら誰でもする。が、彼女の場合、完全に度を越していた。母は、父と結婚して以来、燃えるゴミ以外のゴミを一度も出したことがない。たとえば瓶、プラスティックの容器、ビニルの袋、空き箱、缶、紐に至るまでけっして捨てない。きちんと分別をし収納した。包装紙はテープを取りアイロンをかけて皺を伸ばし正確に折り畳み、輪ゴム一本でさえ太さ別にそれぞれ仕舞った。空き箱の蓋を開けると少し小さい箱が中に収まっていて、その蓋を取るとさらに小さな箱が幾重にも現われた。円筒形のお茶や海苔の缶も同様。家の至るところにそういったものが高密度で収納されていた。七歳上の無口な父はときどき「こんなものは捨てれば良い」と言ったが、基本的に妻の収納癖に感心していた。
最後に息子がしたことは破壊か、それとも供養だったのか?
単行本です。
この作品、自伝的なものなのでしょうか? エッセイの類は読まないので森博嗣の実像との距離感がわからないのですが...
さておき、森博嗣の小説、としかいいようのない作品に仕上がっています。
登場人物の行動について、とても細かに説明というか解釈がされるのが特徴です。
最初はうるさく感じるかもしれませんが、このリズムに馴染んでくると、なんともいえない味わいを感じるようになります。
森博嗣ならではの洞察もあちこちに。そういうのを楽しみながら読む小説だと思います。
ところで、作品の本筋とは全く関係ないのですが、最後のほうでイギリスに移住する話が出てきます。定住のためのVISA(滞在許可)はどうしたのでしょうか? 旅行で行くのと違い、そんなに簡単には認められないと思うのですが...
<2015.3追記>
2014年12月に文庫化されていましたので、書影を追加します。
相田家のグッドバイ Running in the Blood (幻冬舎文庫)
- 作者: 森 博嗣
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2014/12/04
- メディア: 文庫
タグ:森博嗣
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