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ギフト [日本の作家 た行]


ギフト (双葉文庫)

ギフト (双葉文庫)

  • 作者: 日明 恩
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2011/12/15
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
その少年に目が留まった理由は、ただ一つだった。こぼれ落ちる涙を拭おうともせずに、立ち尽くしていたからだ。それもホラー映画の並ぶ棚の前で。しかも毎日。――ある事件がきっかけで、職を辞した元刑事の須賀原は、死者が見えるという少年・明生と、ふとした縁で知りあった。互いに人目を避けて生きてきた二人。孤独な魂は惹かれ合い、手を結んだ。須賀原と明生は、様々な事情でこの世に留まる死者たちの未練と謎を解き明かしていく。

買った文庫本の帯に
「第4回天竜文学賞受賞作 高校生が薦めたい本、第1位!」
と書いてありまして、「選考会での高校生たちの声」とやらで、帯の表、裏に、高校生のお薦めコメントが書かれています。
さて、天竜文学賞って、なにかな? と思いました。 聞いたことない。どうも高校生が選んでいるような...
ネットで調べてみると、こういうページを見つけました。
第1回の様子ですね。
「2009年10月17日 (土)
浜松市天竜区内の二俣、天竜林業、春野、佐久間の4高校でつくる「北遠4高校地域活性化協議会」は本年度、高校生の読書離れ対策の一環として「高校生が選ぶ天竜文学賞」を創設した。このほど、各校の代表生徒が選考委員となって最終選考会を開き、本年度受賞作品に人気作家有川浩さんの「レインツリーの国」を選んだ。」
(ページへのリンクはこちら。 勝手にリンクを貼っています)
で、「ギフト」が選ばれた第4回の記事はこちら
「2012年12月13日 (木)
北遠3高校の生徒が市販小説から選出する『天竜文学賞』で、本年度受賞作『ギフト』(双葉社)の作家、日明恩(たちもり・めぐみ)さんが12日、浜松市天竜区春野町の春野高を訪れ、天竜杉の表彰盾を生徒から受け取った。日明さんは『若い人たちに読まれ、選んでもらい、ありがたいです』と感謝した。」
第1回では4高校となっていたのが、3高校になっていますが、北遠地方の高校生が選んでいる賞のようです。おもしろい試みですね。賞品が天竜杉の盾ってのがちょっとかっこいいかも。
ちなみに、第2回は小川糸「ファミリーツリー」 (ポプラ文庫)、第3回は「チア男子! !」 (集英社文庫)

死者が見えるという少年という設定は、映画「シックス・センス」ですが、この作品の少年橋口明生は、レンタルビデオ店の棚に並んだ「シックス・センス」のパッケージの前で涙して読者の前に登場します。明生は、中学二年生。「シックス・センス」のように幼児ではありませんが、それでも十分幼い。見なくてよいもの、聞かなくてよいものを、見せられ聞かされるつらさを数多く経験しています。
もうひとりの主人公元刑事の須賀原と出合い、死者の絡む事件(?)をいくつか一緒に経験し、絆を深め、前に進んでいく。死者側のエピソードとして印象に残っているのは「自惚れ鏡」。自分を見据え、己の本質を認めることができず、自分を騙し続ける若い女性の幽霊のエピソードはかなり強烈です。
そしてラストは、須賀原が警察をやめるきっかけとなったある事件を振り返るエピソード。
予定調和と言えば予定調和ですが、傷ついたもの、挫折したものの再生のメッセージが、やわらかく、まっすぐに届く作品です。
日明さんらしく軽めの話ですが、高校生でなくとも楽しめます。これを入り口に、高校生が多様な読書に挑んでもらえたら素敵だなぁ、と感じました。
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