夜歩く [海外の作家 ジョン・ディクスン・カー]
<裏表紙あらすじ>
パリの予審判事アンリ・バンコランは、剣の名手と名高いサリニー公爵の依頼をうけ、彼と新妻をつけねらう人物から護るために深夜のナイトクラブを訪れる。だが、バンコランと刑事が出入口を見張るカード室で、公爵は首を切断されていた。怪奇趣味、不可能犯罪、そして密室。カーの著作を彩る魅惑の要素が全て詰まった、探偵小説黄金期の本格派を代表する巨匠の華々して出発点。
ジョン・ディクスン・カーのデビュー作の新訳版です。旧訳で読んでいます。
処女作にはその作家のすべてがある、なんて言いますが、この「夜歩く」も正にその通りで、あらすじにもある通り、怪奇趣味と不可能犯罪を楽しむことができます。
この作品、昔読んだ際、怖かった記憶があります。享楽と退廃の街パリを跋扈する“人狼”のイメージが強烈で、そればっかり記憶に残っています。犯人はかろうじて覚えていたものの、その他の事件のディテールは忘れてしまっています。旧訳時代に、あまりに忘れているので、再読までしているのですが、それでもやっぱり覚えているのは、犯人と怖かったこと...
カード室を舞台にした密室トリックは、ちょっと無理なんじゃないかなぁ、と思わないでもないですが、この雰囲気だとありうるかも、という気になります。
カーは、トリックだけではなく、その演出というか魅せ方を意識していた作家なんだなぁと改めて気づかされます。
名探偵であるバンコランの怜悧というか冷徹というか、いやむしろ冷酷といってしまっていいくらいの造型にはさすがに時代を感じてしまいますが、それも往年の名探偵らしくていいかなと思いました。
こうやって創元推理文庫は古い作品をどんどんリニューアルしてくれるので、とても助かります。
今後とも発掘(?) を続けてほしいです。
私も昨年、カーの新訳版を3冊読みました!
子供の頃から「魔女の隠れ家」は何度も読んでます
「夜歩く」はまだなので今年中に読みたいと思ってます(^o^)
by Kun-KunBEAR (2014-02-08 18:26)
Kun-KunBEAR さん、nice! & コメントありがとうございます。
「魔女の隠れ家」もかなり怖かった印象があります。
東京創元社から 「殺人者と恐喝者」が出ましたね。
これも楽しみです!
by 31 (2014-02-08 18:39)
ご訪問ありがとうございました。
「夜歩く」は未読なんですが、その原型となった中篇「グラン・ギニョール」を、昔ハードカバーで読みました。
作品ももちろん愉しめましたが、併録のエッセー「地上最高のゲーム」がとても面白かったように記憶しています。
by るね (2014-02-09 01:27)
るね さん、nice! & コメントありがとうございます。
「グラン・ギニョール」文庫化してほしいです!! また「夜歩く」とは違う面白さがあるんでしょうね。
by 31 (2014-02-09 21:30)