春の魔法のおすそわけ [日本の作家 西澤保彦]
<裏表紙あらすじ>
ある朝、作家・鈴木小夜子は桜の舞う歩道橋の上にいた。ひどい二日酔いに見舞われ、昨晩の記憶はない。手には札束が入った見知らぬバッグ、そして現れる不思議な美青年……。謎と酒に酔いしれる、一夜限りのファンタジックなミステリ。
西澤保彦の作品に上品さなど求めてはいませんが、オープニングのこのお下劣さというか、下品さは、ちょっと耐え難いレベル。なにもここまでしなくても...
タイトルはなんだか素敵なのに。
下品なことを除くと、不思議な現象はおきますし、それなりに合理的に解決されますので、まずまずの作品。そういう評価もできると思います。
でも、個人的にはあまり評価できません。
まずなによりも、謎解きのもっとも重要な部分が、要するところ「酔っていたから。しかも強烈に」というのでは、興ざめです。いくら現実に起こりうることであろうとも、ミステリでは白けるだけです。わりとするするといろんな変な事象や腑に落ちないことも、それなりに合理的に説明されるのに、この部分がひっかかるせいで、すんなり納得できません。
せっかくラストは優しく終わるのに(そうなんです。オープニングのお下劣さとは異次元といっていいような着地を見せます)、もったいない。
個人的に、当たり外れの激しい西澤保彦。この作品は、残念ながらはずれ、でした。
タグ:西澤保彦
コメント 0