はた迷惑なウェディング [海外の作家 レスリー・メイヤー]
<裏表紙あらすじ>
親友スーの娘が大富豪と結婚することになった。頼みこまれて自宅のあずまやを結婚式に提供することにしたのはいいが、ただでさえ新聞記者の仕事で多忙なところへ結婚式の手伝いまで加わり、ルーシーは気も狂わんばかりに。ところがそこに、結婚相手の母親がしゃしゃり出てきた。どうやら大富豪の息子にふさわしい大がかりな式を目論んでいるらしい。好評主婦探偵シリーズ第八弾。
引用したあらすじには結婚式をめぐる騒動だけが書かれていて、ミステリーらしい事件がちっとも触れられていませんが、このシリーズの場合はこれでいいのかも。
書いてある通り、今回ルーシーは親友スーの娘シドラの結婚式を手伝います。というか、会場を貸し出します(?)。シリーズをずっと読んでいるのですが、シドラの印象がなく...ま、いいや。今回は割と重要な役どころです。田舎である地元ティンカーズコーヴをバカにする、結構嫌な奴になってニューヨークから凱旋します。
結婚パーティー(披露宴?)の計画を花嫁の母親がする、というのが日本人的にはぴんと来ないですが、ホテルや結婚式場ではなく、ホームパーティみたいなものを想像すればよいのかもしれませんね。手作り感あるパーティはそれはそれで趣あっていいかも。
ティンカーコーヴらしい素朴な(?) 結婚式を、新郎の母テルマが金に飽かせてぶち壊そうとする、という構図。新郎ロンは、インターネット大富豪で、「次のビル・ゲイツ」と言われている、という設定。ロンもテルマも実にいやな奴に描かれています。典型的な俗物。
もうひとつ、“ウェディングシャワー” という催し(?) が登場します。初耳。どうやらこれは、花嫁の友人たちが新生活で役立ちそうなプレゼントを花嫁に贈る行事のようで、「プレゼントがシャワーのようにどっさりもらえるはずよ」(71ページ)というセリフもあり、シャワーと呼ばれているみたい。こんなの知らなかったなぁ。こういうことを知るのも海外の小説を読む楽しみのひとつですね。
事件はこのシャワーで起こります。誰が死ぬかもお楽しみだと思うので明かしませんが、ちゃんと嫌な奴が死んじゃうところがコージーの王道ですよね。王道通りかどうか、お確かめください。
細部が書かれていないのでなんとも言えないのかもしれませんが、インターネット大富豪をめぐるエピソードは、ちょっとうまくいきすぎというか、ありえないんじゃないかなぁ、と思いましたが、ルーシーは推理するのではなく、どたばたしているうちに勝手に解決するという趣向も含め、わーっと盛り上げて、ストンと落としたような着地点はなかなかおもしろかったです。
<蛇足>
この「はた迷惑なウェディング」、原題は Wedding Day Murder。前作「感謝祭の勇敢な七面鳥」 の原題が Turkey Day Murder だったので、ひょっとしてシリーズは “XX Day Murder” というかたちで統一されているのかな、と思ったので、さかのぼって調べてみました。
「メールオーダーはできません」 | Mistletoe Murder |
「トウシューズはピンクだけ」 | Tippy Toe Murder |
「ハロウィーンに完璧なカボチャ」 | Trick or Treat Murder |
「授業の開始に爆弾予告」 | Back to School Murder |
「バレンタインは雪あそび」 | Valentine Murder |
「史上最悪のクリスマスクッキー交換会」 | Christmas Cookie Murder |
「感謝祭の勇敢な七面鳥」 | Turkey Day Murder |
たまたまだったみたいですね(笑)。
原題:Wedding Day Murder
作者:Leslie Meier
刊行:2001年
2014-07-21 22:53
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