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アコギなのかリッパなのか ― 佐倉聖の事件簿 [日本の作家 は行]


アコギなのかリッパなのか―佐倉聖の事件簿 (新潮文庫)

アコギなのかリッパなのか―佐倉聖の事件簿 (新潮文庫)

  • 作者: 畠中 恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/02/27
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
佐倉聖21歳。腹違いの弟を独り養う大学生だ。すでに引退した大物政治家・大堂剛の事務所で雑用係の事務員を務めている。昔は不良で腕っ節が強い上、気転は利くし頭が切れる。そんな聖だからこそ、事務所に持ち込まれる、あらゆる陳情・難題・厄介事・揉め事の後始末を一任されても、見事な手際でまんまと解決していく。「しゃばけ」シリーズの著者が描く新時代のユーモア・ミステリー。


畠中恵には珍しい現代物です。
舞台は政治家の事務所。
「五色の猫」
「白い背広」
「月下の青」
「商店街の赤信号」
「親父とオヤジとピンクの便せん」
の5話が入っています。

有力後援者の家で、飼っている猫の色が時々変わるという冒頭の「五色の猫」、謎はステキですが、この着地はミステリとしてはイマイチ。ただ、通常のミステリではなく、あくまで政治家をめぐる様々なエピソードの一つとしては妥当なところかと思われます。一般的なミステリの目指すところとは違う志向性を持った作品なんですよ、と読者に示す役割を果たす作品なのでしょう。
「白い背広」は、後援会の派閥争いとお化け屋敷と化した洋館を舞台にした事件を描いています。事件そのものはたいしたことないのですが、聖はどう決着をつけるか、ということが眼目で、謎解き、というのもありますが、むしろトラブル・シューティングものなんだな、とわかります。このシリーズの趣が、このあたりで見当がついてきます。
「月下の青」は、高価な絵を持ったまま新興宗教に入信してしまった議員秘書を、絵と共に取り戻す。まさにトラブル・シューティング。
「商店街の赤信号」は、選挙事務所のボランティアの夫婦が繰り広げる夫にダイエットさせたい妻と妻に隠れてお菓子を食べたい夫の攻防。当事者にとっては大真面目なんでしょうが、微笑ましくていいですね。
「親父とオヤジとピンクの便せん」は、聖の父親が現れます。そして秘書志望のインターンたち。政治家秘書にもインターンってあるんですね。

聖のキャラクターがちょっとできすぎ感ありますが、全体として嫌味ない人物なので親しみがわきます。
続編「さくら聖・咲く」(実業之日本社)が出ているみたいなので、楽しみです。
咲く、ってことは、選挙に出て政治家になったのかな?



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コメント 1

センニン

ご訪問 & nice! ありがとうございました。
また遊びに来ます。
by センニン (2015-08-22 20:56) 

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