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曲がった蝶番 [海外の作家 ジョン・ディクスン・カー]


曲がった蝶番【新訳版】 (創元推理文庫)

曲がった蝶番【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 作者: ジョン・ディクスン・カー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/12/20
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
1年前、25年ぶりにアメリカから帰国し、爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽者であり、自分こそが正当な相続人であると主張する男が現れた。渡米の際にタイタニック号の船上で入れ替わったのだと言う。あの沈没の夜に――。やがて、決定的な証拠によって事が決しようとした矢先に、不可解極まりない事件が発生した! 巨匠カーによるフェル博士登場の逸品、新訳版。


このところ続いているカーの新訳。今回は「曲がった蝶番」
旧訳のタイトルは、「曲った蝶番」 でしたから、「が」が増えました。新訳のタイトルは「まががったちょうつがい」? (笑)。

新訳を読むたびに、以前旧訳を読んだ記憶がほとんどないことに我ながら感心するのですが、この作品もそうで、見事に忘れ去っていました。
タイタニック号での入れ替わり、というロマンチック(?) な設定、自動人形《金髪の魔女》、そして魔女崇拝・悪魔主義。
道具立ては完璧ですね。カーらしい。
そしてトリックがすごいです。なんと言ったらいいんでしょうね? 豪快というか、剛腕というか、反則ですね。正直、今風にいえば、バカミスの境地かと思います。
第四部で真相が明かされる前の第三部で、フェル博士が偽の解決を展開して見せるのですが、そこで披露されるトリックもバカミスの資格十分のトンデモ系で、これはこれで味わい深いトリックなのですが、真相の方はさらに上を行く馬鹿馬鹿しさ(一応、褒めています)。
よく、こんなの忘れていたな、と我ながら感心します。
不可能味を示すための証人が弱い点はちょっと残念ですが、いやぁ、楽しんじゃいました。
第四部の扉の所に、チェスタトンの引用があるのですが、カーはこれを読んで、なんとか解決策はないものかとあれこれ考えて、この「曲がった蝶番」のトリックを思いついたんでしょうか? 
なんか、してやったり、とニヤついているカーの顔を想像してしまいました。

あと印象深いのはタイトルですね。
タイタニック号での「曲がった蝶番」のエピソードはかなり鮮明です(どうして忘れてしまっていたのでしょうね?)

愉快な作品でしたが、これを傑作と呼ぶのはためらわれてしまいます。
そんなところも含めて、カーらしいかな、と思える作品です。


原題:The Crooked Hinge
著者:John Dickson Carr
刊行:1938年
訳者:三角和代




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