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20億の針 [海外の作家 か行]


20億の針【新訳版】 (創元SF文庫)

20億の針【新訳版】 (創元SF文庫)

  • 作者: ハル・クレメント
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/05/21
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
2隻の宇宙船が南太平洋に墜落した。1隻に乗っていたのは捜査官、もう1隻に乗っていたのは犯罪者。両者とも人間ではない。高度な知性をもったゼリー状の生物であり、彼らは宿主なしには生きられない。捜査官は一人の少年の体内に宿り、犯罪者は別の人間にとりついている。だがいったい誰に? 容疑者は地球上の人間全員、20億人。様々な寄生生命SFの原点となった歴史的傑作。


無茶苦茶久しぶりの更新となりました。
仕事が忙しくなって...というのもあるのですが、なにより6月頭に引っ越したのが影響大。
マンガを除いてだいたい読んだ順に感想を書いていたのですが、読み終わった本がさてさていったいどの段ボールに潜んでいるのやら...ちゃんとつきとめられていない状態です。
前回感想を書いたのが、「雨恋」で、「雨恋」は2015年10月に読んだ最初の本ですから、まるまる9か月分の本が感想を書けないままです。
このままではいつまでたっても再開できないので、趣向を変えまして(?)、いま読み終わったばかりの本を採り上げたいと思います。

今回の「20億の針」は、創元SF文庫から新訳が出た作品ですが、むかーし小学生の頃、児童書で読んでいます。
覚えていたのはあらすじにも書かれているような程度のことで、細かいところは全くでした。

いやぁ、面白かったですねぇ。
もっと早く大人物としても読んでおけばよかったです。
帯には
『「寄生獣」「ヒドゥン」など、様々な共生生命SFの原点となった歴史的傑作を新訳で贈る』
と書かれていまして、なるほど、そういう歴史的意義のある作品でもあるんですね。

宇宙人で捜査官側である"捕り手(ハンター)"が、少年の体に入り込んで、"殺し屋(キラー)"(“ホシ”とも呼ばれます)をつきとめるという話。
共生する人間と、宇宙人(ゼリー状)が交流する、ファーストコンタクトもなかなかいい感じです。
人間サイドを少年に設定したことが功を奏しています。このことは本文中にも触れられていますが。
なるほどなぁ。
大学生くらいに設定したほうが物語は転がりやすかったように思いますが(まずもって少年には移動の自由が少ない)、ラストの展開などを考えると15歳というティーンエイジャーにしたのはやはり正解ですね。
個人的には、子どもを主人公にした作品は好みなので、ありがたい。

タヒチあたりの島で遭遇し、少年の学校があるシアトルでコンタクトして共生関係を築き、“ホシ”を探しに島へと戻る。ここまでで90ページ。ざっくり全体の1/4程度。
学校でのコンタクトのくだりもとてもおもしろかったですし、その後島へ戻ってからも、島でも少年の生活がいきいきしていて楽しくなりました。
おいおい、そんなことでどうやって探すんだよ、と思わないでもなかったですが...

地球全体から、"殺し屋"が潜んでいる人間を探るということで、当時の地球の人口を使って「20億の針」なわけですが、実際は島に限定されていますし、まあ、ちょっと大げさですね。
でも原題は
「Needle」
シンプルに、針、です。日本語訳するときに20億ってつけたんですね。大げさでも、なかなか良いタイトルです。

20億はおおげさでも、犯人捜しというかマンハント的要素があるわけで、ミステリ好きとしても楽しめて良いですね。

本書の続編「一千億の針」 (創元SF文庫)も新版が6月に出ていますので、読んでみたいと思います。


原題:Needle
著者:Hal Clement
刊行:1950年
訳者:鍛治靖子



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