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Ψの悲劇 [日本の作家 森博嗣]

ψの悲劇 The Tragedy of ψ (講談社ノベルス)

ψの悲劇 The Tragedy of ψ (講談社ノベルス)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/05/09
  • メディア: 新書

<裏表紙あらすじ>
遺書ともとれる手紙を残し、八田洋久博士が失踪した。大学教授だった彼は、引退後も自宅で研究を続けていた。
失踪から一年、博士と縁のある者たちが八田家へ集い、島田文子と名乗る女性が、実験室にあったコンピュータから「ψの悲劇」と題された奇妙な小説を発見する。
そしてその夜、死が屋敷を訪れた。
失われた輪(ミッシングリンク)を繋ぐ、Gシリーズ後期三部作、第二幕!


「χの悲劇」 (講談社ノベルス)(感想ページへのリンクはこちら)に続くGシリーズ第11作です。

作中で引用されているのがエラリー・クイーンの「Yの悲劇」 (創元推理文庫)で、舞台となるおうちが八田家で、失踪した元大学教授が小説を残している、ということなので、きわめてミステリらしい展開を見せてくれるんじゃないか、と期待するところですが、いやいや、まったく違いましたね。

主な語り手は、八田家の執事、鈴木なんですが、この語り口がどうもぎこちない。
そして、「χの悲劇」に続いて島田文子が登場するのですが、ずいぶん印象が違っていて、あれれ? と思ったんですが、それすらも作者の手の内でしたね...

ミステリだとかなんとかではなくて、森作品の過去と未来の橋渡しみたいな感じです。
(引用したあらすじでは、「失われた輪(ミッシングリンク)を繋ぐ」という表現になっています)
Wシリーズの前日譚、と言ったらネタばれかもしれませんね...でも、この程度を明かしても、この作品の価値は微塵も損なわれませんね。大丈夫、大丈夫。

恐ろしい作品です。
何が恐ろしいって、プロットそのものが恐ろしいですが、いちばん恐ろしかったのはエピローグですね。
なんじゃ、これ!? あまりの恐ろしさに、さむけがしました...


<蛇足>
「暮坂さんは、刑事だったんですね?」
「うん、辞めたのは、もう十年以上まえのことだから、すっかり世間擦れしてしまった」(244ページ)
とあったので、おやおや「世間擦れ」の意味を間違ってるんじゃないかなぁ、と余計なことを考えたのですが、
「世間擦れ? 警察では、どんな仕事を?」
「私は、公安だった。ずっとね。自分はほとんど官僚、相手も官僚、あるいは政治家だ。世間擦れというのはね、あれだ、一般市民に仲間入りした感じだよ」
と続いていまして、まったく正しい使いかただったことがわかりました。失礼しました。
それにしても、こういう使いかたをしたほうが、「世間擦れ」という単語は映えますね。






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ゆうのすけ

初めまして。御訪問・nice! ありがとうございます。^^
by ゆうのすけ (2018-11-26 04:05) 

31

ゆうのすけ さん
ご訪問&nice! ありがとうございます!!
by 31 (2018-11-26 08:18) 

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