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大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう [日本の作家 や行]


大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 山本 巧次
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/08/06
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
江戸の両国橋近くに住むおゆうは、老舗の薬種問屋から殺された息子の汚名をそそいでほしいと依頼を受け、同心の伝三郎とともに調査に乗り出す……が彼女の正体はアラサー元OL・関口優佳。家の扉をくぐって江戸と現代で二重生活を送っていたのだ――。優佳は現代科学を駆使し謎を解いていくが、いかにして江戸の人間に真実を伝えるのか……。ふたつの時代を行き来しながら事件の真相に迫る!


読了本落穂拾い、続けます。

この「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」 (宝島社文庫)は、第13回「このミステリーがすごい!大賞」隠し玉で、作者のデビュー作です。
シリーズ第2作である「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 両国橋の御落胤」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら)の感想を先に書きましたが、ちゃんと(?)順に読んでいます。

「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 両国橋の御落胤」 (宝島社文庫)の感想に書きましたがこのシリーズの特徴は、江戸時代を舞台にしながら、主人公であるおゆうは現代人で、タイムトンネルを使って江戸と東京を行き来している、というところにあります。
そして現代の科学の知識を用いて、江戸時代の事件を解決する、という枠組みです。
ただし、現代の科学は「江戸時代には通用しない。
さて、どうやって周りを説得していくのか......

扱われる事件は、現代風の科学捜査が遺憾なく発揮されるようなものになっていて、楽しいですね。
なにより気に入ったのは、解説で膳所善造が「二転三転どころか四転五転する」と書いている通り、事件の構図が複雑であること。
帯にあっさり「薬種問屋をめぐる殺人事件と闇薬の裏流しについて」と書かれていますが、なかなかどうして複雑です。
これは、現代の科学に、江戸の知識を組み合わせないと解けない。
それで登場するのが、南町奉行所定廻り同心鵜飼伝三郎。
お似合いのカップル、という設定のようです。

そして個人的にいいなと思ったのは、このミステリとしての枠組みに加えて、最後の最後に明かされるエピソード。
エチケットとしてここでは書きませんが、驚きました。
これ、明らかにシリーズ化をもくろんだ形になっていまして、新人賞に応募する作品としては、赤川次郎「幽霊列車」 (文春文庫)並みの大胆さですね。
また、触れる必要のないタイムパラドックスについても簡単に触れてあって、おそらく、シリーズの構想に関係してくるのでしょう。
いいではないですか。

シリーズは、
「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 両国橋の御落胤」 (宝島社文庫)
の後
「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 千両富くじ根津の夢」 (宝島社文庫)
「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 北斎に聞いてみろ」 (宝島社文庫)
「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう ドローン江戸を翔ぶ」 (宝島社文庫)
「大江戸科学捜査 八丁掘のおゆう 北からの黒船」 (宝島社文庫)
「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 妖刀は怪盗を招く」 (宝島社文庫)
と順調に続刊が出ています。
読み進めるのが楽しみなシリーズです。







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