SSブログ

日曜は憧れの国 [日本の作家 円居挽]


日曜は憧れの国 (創元推理文庫)

日曜は憧れの国 (創元推理文庫)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/05/21
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
内気な中学二年生・千鶴は、母親の言いつけで四谷のカルチャーセンターの講座を受けることに。彼女はその料理教室で、同い年だが性格も学校も違う桃・真紀・公子と出会う。ところが、教室内で盗件が発生。顛末に納得がいかなかった四人は、真相を推理することに。多感な少女たちが、カルチャーセンターで遭遇する様々な事件の謎に挑む!  気鋭の著者が贈る課外活動青春ミステリ。


円居挽の新シリーズ、といってももう出版されてから6年以上経ちますが......永らくの積読すみません。
円居挽といったらルヴォワール・シリーズですが、まったく趣が違う作品でびっくり。

「レフトオーバーズ」
「一歩千金二歩厳禁」
「維新伝心」
「幾度もリグレット」
「いきなりは描けない」
5編収録の連作短編集で、カルチャーセンターを舞台に、女子中学生を主人公にした謎解きものです。
カルチャーセンターに女子中学生!?と思いましたが、四人四様の性格が楽しく読めます。
中学生にしては大人びている少女ばかりですが、それはこちらが大人を通り越してじじいの領域に足を突っ込みつつあるのでそう思うだけで、女子中学生というのは大人びているものなのかもしれません。
それに加えて、作者の視線がシビアなことが大きな特徴の作品です。

冒頭の「レフトオーバーズ」にしてから、あまりにシニカルな真相に思わぬショックを受けました。
これに続く作品も、日常の謎とはいえ、一筋縄ではいかない変化球の連続で、楽しい。
そんな折々に、中学生の悩みとか将来の不安などが描かれていきます。

「好きで選んだ道を歩いているつもりが袋小路に向かっているなんて最悪の人生ではないか。」
「自分がプレイしているゲームが袋小路のようなエンディングに向かっていないことを祈るか、それともゲームを降りて別の道を探すべきか、もしくは全く違う別の選択肢があるのか……」
「つまるところ、真紀がプレイしているのは不確実な将来に備えてのことだ。先の先までは読めないからせめて少し先を良くしていく……」(162ページ)
こんな問いを投げかけられたら、到底答えられません!

作者によるあとがきとあわせて、中学生や高校生にお勧めしたいです。




nice!(14)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 14

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。