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風鈴教授の優雅な推理 [日本の作家 さ行]


風鈴教授の優雅な推理 (徳間文庫 さ 3-18)

風鈴教授の優雅な推理 (徳間文庫 さ 3-18)

  • 作者: 佐野 洋
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2023/01/22
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
地方都市の大学で講義をする風見の楽しみは、地元の喫茶スナック「ポルト」のママ・門倉須美とのひとときである。新聞記者時代から軽い評論を書いていたこともあり、学内でも風流教授といわれている風見だが、彼女は、夫が命名した風流ならぬ“風鈴”教授という呼び名が気に入っている。風見には隠れた特技があり、その“技”を駆使しながら、さまざまな事件を推理してゆく。洒落た都会感覚ミステリー連作集。


2022年6月に読んだ8作目(10冊目)の本です。
本棚に眠っていた積読です。奥付を見ると1999年7月。

佐野洋は多作家で、数多くの作品を残していますが、もう新刊書店では手に入らないのではないでしょうか。
非常に短編が多い印象で、星新一がショートショート1000作で話題になりましたが、佐野洋は短編を1000作以上書いています。

都会感覚かどうかはともかくとして、技巧派として知られていて、洒落た印象が残るのが佐野洋作品の特徴と理解しています。
怨念とか情念とは程遠い世界。その意味ではあっさりしている、と言ってもいいかもしれませんが。

しかし、この作品はどうでしょうか。
引用したあらすじにも書いてありますが、主人公は不倫をしています。その意味では、風流教授ならぬ風鈴教授でもなく、単なる不倫教授。
おそらくは掲載誌からの要請だったのでしょうけれど、エロ的な部分を盛り込んでいるのですが、この部分はおそろしく泥臭い。
各話のエピソードにも、技巧派らしいひねりが見られるものもありますが、失礼ながら書き飛ばした感がします。

エロというほどのこともないのですが、佐野洋には密会の宿シリーズがあり、近いといえば近いです。
あちらは、二人の関係も描かれてはいるものの、解かれる事件の方に主眼があるのに対し、こちらは事件が主ではあるものの、二人の関係性に比重が比較すると大きく盛り込まれている点が違うかもしれません。
佐野洋は、エロは不得手だった、ということなのでしょう。

どうしてこの本買っちゃったのかな?
昔の自分よ、反省しなさい。


<蛇足>
「私は、真っ先に考えたのは、風見に電話をかけることであった。
 しかし、送受器に手を伸ばしかけて、私は躊躇した。」(241ページ)
携帯はまだそれほど一般的ではなった頃で、主は固定電話でしたが、送受器というのは珍しいですね。
一般的には受話器と呼んでいたものです。
たしか「推理日記」で、電話のあの部分は受話機能だけではないのだから、送受器と言うべきと佐野洋が書いていたことを思い出しました。




タグ:佐野洋
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