GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻 [日本の作家 あ行]
GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻 (角川文庫)
- 作者: 乙 一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/07/25
- メディア: 文庫
<カバー裏あらすじ>
12月のある日の午後。森野夜は雑木林の地面に横たわっていた。死や恐怖など、暗黒的な事象に惹かれる彼女は、7年前、少女の死体が遺棄された場所に同じポーズで横たわって、悪趣味な記念写真を撮るつもりだった。まさかそこで出会ったのが本物の殺人犯だとも知らず、シャッターを押してほしいと依頼した森野の運命は? 「なぜか高確率で殺人者に出会い、相手を魅了してしまう」謎属性をもつ少女、森野夜を描いたGOTH(ゴス)番外篇。
2023年3月に読んだ最後の本です。わずか6冊しか読めませんでした。低調。
これは、乙一「GOTH―リストカット事件」(角川書店)の番外編という位置づけのようです。
本書成立の経緯はあとがきに書かれていますが、「GOTH―リストカット事件」が2008年に映画化された際、それと連動する形で新津保健秀による写真集「GOTH モリノヨル」が出版され、そのときに寄稿されたものを独立して文庫化したものとのことです。
ちなみに「GOTH―リストカット事件」は文庫化に際して以下の2分冊となっています。表紙がかっこいい。
登場人物が極めて少なく、女子高生の死体遺棄現場である落葉樹林を主要舞台に、なんともいえない不思議な物語が展開されます。
主人公(?) である森野という高校生の少女(?) の設定が ”変” なのですが(それを言うと、全登場人物が ”変” ですが)、この味わいをしっかり感じ取るには本編を読んでおいた方がよいと思いました。
一方で、予備知識なく番外編であるこの「GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻」 (角川文庫)をいきなり読んだときにどういう感想になるか気になるところです。
それはそれで楽しい読書体験のような気もします。
いつものように乙一は、ジャンルの壁を軽やかに越えて、独特の世界観に引き込んでくれます。
この ”境地” と呼びたくなるような独特の世界観を表現する語彙を持ち合わせていないのが残念ですが、緊迫感なく緊迫感、(変な表現ですが)といった風情を感じます。
乙一は別名義での作品が多くなり、乙一名義の作品は少なくなっていますが、また乙一名義のものでも楽しませてほしいです。
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