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詩歌川百景 (1) [コミック 吉田秋生]


詩歌川百景 (1) (フラワーコミックス)

詩歌川百景 (1) (フラワーコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2020/10/09
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
温泉旅館で働く青年・飯田和樹。
町いちばんの美人といわれる幼なじみの小川妙に日々からかわれながらも和樹は彼女の事情を気にかけていて……?
小さな温泉町を舞台に描かれる瑞々しく精細な人間ドラマ 第1巻!


奥付を見ると2020年10月。もう3年たつのですね。
「海街diary」のあと吉田秋生が描いているのが、この「詩歌川百景」です。
詩歌川は、うたがわ、と読みます。

第1話 町いちばんの美女
第2話 帰らぬ人
第3話 美女は野獣
第4話 冬の花
の4話収録。

「海街diary」の最終巻である「海街diary 9 行ってくる」 (フラワーコミックス)のラストに収録されていた「番外編 通り雨のあとに」に出てきた和樹が主人公をつとめます。
すずが鎌倉に来る前に一緒に暮らしていた弟・和樹は、いまでは山形県北部の河鹿沢温泉の旅館「あづまや」で湯守(の見習い)をして、下の弟守(まもる)と一緒に暮らしている。

和樹と妙の関係性が物語の中心というのは見当がつきますが、ふたりをとりまく登場人物たちも魅力的です。
和樹の弟の守もそうですし、和樹(と妙)の同級生だった森野、林田(二人合わせて森林組合笑)や旅館の大女将や湯守の倉石さん。
妙の母絢子さんなど、曲者役の人たちもなかなかいい感じ。
舞台が小さな田舎なので、狭い人間関係で物語が展開するのが効果的です。
ヨーダみたいな慈仙寺の住職も、三悪と呼ばれるおじさん(じいさん?)連中も、スナック「サンバ」の面々も、どんどんお馴染みなっていくのでしょう。

和樹の二つ下の弟である智樹は、和樹たちと離れて母親についていきその後15のときに厚生施設に入所が決まったという設定です(「番外編 通り雨のあとに」に智樹のエピソードがありましたね)。
和樹だけでなく妙サイドも、家族関係が一筋縄ではいかない設定になっており、物語に陰影を与えます。
和樹にしろ、妙にしろ、周りをとてもよく観ていて(森林組合のうち林田も)、彼らの交わす会話は、若い人にありがちなふざけたやりとりにとどまらず、すっと深いところをつかみとるような鋭さをしばしば発揮し、はっとさせられます。

第1話の林田が妙に投げかけるセリフ「うっかり毒リンゴ喰らうなよ 白雪姫」なんて、いつか意味が分かるときが来るのだろうな、と思って読みました(うっすら見当がついてはいるのですが)。

いまのところ3巻まで出ています。
追いつこう。



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