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白鳥城の吸血鬼 [日本の作家 赤川次郎]


白鳥城の吸血鬼 (集英社オレンジ文庫)

白鳥城の吸血鬼 (集英社オレンジ文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2023/07/20
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
ドイツでの仕事ついでに、ロマンチック街道を観光中のクロロック一行。〈白鳥の城〉として名高いノイシュバンシュタイン城を訪れた際、日本からの修学旅行生に出会い同行するが、彼女らは忽然と姿を消し……? ただならぬ空気を感じたクロロックとエリカは、絢爛豪華な城内の調査に乗り出す! 表題作ほか2編を収録。吸血鬼はお年ごろシリーズ、待望の最新作!


2023年10月に読んだ10冊目の本です。
「吸血鬼はお年ごろ」シリーズの「白鳥城の吸血鬼」 (集英社オレンジ文庫)

「吸血鬼と家出娘のランチタイム」
「吸血鬼と仇討志願」
「白鳥城の吸血鬼」
の3編収録です。

「吸血鬼と家で娘のランチタイム」は、ダムに沈む村、というわりと赤川次郎お得意の設定を背景にしています。
かなり無茶苦茶なストーリーになっているのが残念。
このダムのある村、どこなのか書かれていないので、かえって気になりました。
令和の時代とは到底思えないような田舎で、携帯もまったく普及しておらず、東京も含め日本の他の地域の情報からまったく隔絶されているところ、という感じ。こんなところ、ありますか?
むしろタイムスリップしてきた、という方がありそうです。

「吸血鬼と仇討志願」は、赤川次郎お得意の芸能界もの。
それぞれ膨らませることができそうなエピソードを短い中に要領よく詰め込んだ作品。
犯人の狙いと手段のアンバランスさが気になりますし、そもそもの発端となる十三歳の役者小田信之の父が役者人生を失う契機となった覚醒剤がどこから来たのか等肝心のところが詰められていない印象です。

「白鳥城の吸血鬼」は、赤川次郎お得意のドイツもの。舞台はノイシュバンシュタイン城。
ノイシュバンシュタイン城に存在する怪異が中途半端なことに加え、修学旅行生をめぐるエピソードが無理すぎる(容姿の描写がありませんので不確かではありますが、日本人をドイツ人と誤認させるのはかなり無理があるのでは?)ので残念。

3話まとめて、赤川次郎お得意の題材を扱っていますが、どうも書きとばしてしまった印象ですね。
一旦シリーズを休んで充電したほうがよいかもしれません。
(そんなことを言い出したら、はるか以前に充電しておけ、ということかもしれませんが)


<蛇足1>
「咲さんと二人で、きっと信ちゃんを助けて下さるわ。ね、社長」(109ページ)
クロロックの秘書金原ルリが咲というタレント(女優?)に言うセリフですが、ここは、「エリカさんと二人で」に間違いではないかと思うのですが。

<蛇足2>
「信ちゃんのメイクがあんな──」
「一時的に肌がやられる成分を混ぜておいたのだな。─略─」
「ごめんなさいね。でも、すぐに顔は元に戻るわよ」(157ページ)
こんな都合の良い薬剤ありますか?




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